豊島逸夫の手帖

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ソロス氏円売りの出口戦略は?

2013年2月15日

昨日本欄「ソロス氏、円売りで930億円稼ぐ」に書いた件だが、ソロス氏は「アベノミクスに賭けた」わけだ。円売り「love」とも側近の話として伝えられる。
そこで気になることは、約10億ドルの「儲け」が未だpaper profit(含み益)であるので、その利益実現の時期である。
巨額の円売りポジションをいつ手仕舞うのか。「アベノミクス」に賭けた以上、短期に売るとは思えない。
それでも、いつか必ずやってくる、「カリスマファンド、ソロス円買い戻し」のニュースが市場に流れるとき、そのインパクトは「要人発言」をも凌ぐ心理的影響があるかもしれない。
同氏は、92年に英国ポンド売りを仕掛け、見事勝利したわけだが、これは英国当局に対する戦いであった。しかし、今回は通貨売りでも、日本当局に同調した動きであることも興味深い。

なお、日本時間15日早朝に、SEC登録ファンドの運用資産銘柄開示(通称13F)が相次いで発表された。今回は2012年12月31日時点の数字である。
そこでソロス・ファンド・マネジメントの13Fを開いて、保有銘柄リストを追ってゆくと、前期にはなかった「新入り」銘柄があった。「iシェアーズ MSCI ジャパン」。本欄でもこれまでフォローしてきた日本株ETFである。まだ額は小さい。30万株で290万ドル。
しかし、現在のソロス氏のポートフォリオの10%は日本株と伝えられており、昨年末以降に買い増した可能性はある。
今回の13Fから読み取れることは、ソロス氏が日本株に関心を持っているが、半信半疑とでもいおうか、慎重な姿勢で、まずはインデックスから始めた、ということだろう。
次の13F は5月15日前後で、3月末の運用内訳が開示される。
それまでは、「関係筋の情報」に頼ることになる。

なお、同13Fから、同氏が、金ETF保有量の半分以上を売却していたことも明らかになった。
前期は132万株(2億2713万ドル)を保有していたが、今期は、60万株(9720万ドル)に減少している。

さて、今週発売中の週刊文春138~140ページに「経済のプロ16人が選ぶ日銀総裁」で、私のコメントは「本当に2%のインフレを起こせるとはだれも思っていないのではないか。バブルの時だって物価上昇率は1%台です。これから景気を良くするという、いわばアナウンスメント効果を確信犯的に狙ったのが今回のアベノミクスの正体だと思う。金融政策に過剰な期待をしない、現実的な施策を打ち出せるという期待を込めて、武藤さん支持。」と引用されてます。

それから、サンデー毎日では16~19ページで「やってはいけない禁じ手10、安倍バブルのタブー」という記事で、円安、ユーロ、そして金について色々私のコメントが引用されています。
貴金属については「これからはプラチナが面白い」というコメント。「今さら金投資は遅い」という小見出しは編集部がつけたもの。
週刊誌はこういうリスクがありますが、かといって、ほっておくと、実践経験無いコメンテーターがいいかげんなこと言うので、リスクとっても、取材に対して語るようにしています。

2013年