2013年10月22日
22日日経朝刊「消費」面に「買い物ムード金色に華やぐ」と題する記事が載っている。「景気回復へ期待感映す」金色人気が上昇中、」という内容だ。
しかし、金価格は上値が重い。
「市況の法則」だが、金価格と株価には長期的に逆相関関係があり、株価が上昇傾向に転じると、金価格は下がりがちになる。
その株高が、現在進行中の金色人気復活の要因として挙げられている。
かくして、金の人気度は投資分野と消費分野では異なるのだ。
6月28日付け日経コラムで投資対象としてはこれから「金より景気敏感プラチナがおもしろい」と書いた。
金は不景気に強いが、プラチナ価格は自動車排ガス清浄化触媒を主たる需要源とするので景況感に反応するからだ。
特にプラチナ触媒は欧州中心のディーゼル車に多く使われるので、欧州債務危機が高まった時点では売り込まれ、金価格よりプラチナ価格の方が安いという珍現象さえ生じた。
しかし、欧州の景況感が緩やかながらも回復基調を見せるや、再び金価格に対してプレミアム(順ザヤ)に戻っている。
ところが、ファッション・ジュエリーの世界では、ミニマリズム的な「ブラック&ホワイト」の影響を受けて人気が高かった銀色系のプラチナ・ジュエリーから、エレガンスなどの華やかさを演出するゴールド・ジュエリーへの回帰現象の兆しが見え始めた。
プラチナの世界でも、価格とカラーの人気度には逆相関関係があるようだ。
なお、「侘びさび」文化の強い日本では、同じ金色でも、中国・インドで売れるような「純金」の色は「濃すぎて」敬遠されがちだ。銀やパラジウムなどの「白色系メタル」との合金で金色の光沢を抑えた色合いが好まれる。ハンドバックや靴でも、ワンポイントのゴールド・カラー使いアイテムが選好される。或いは、マット仕上げのように、光沢を消して鈍く光る金の輝きが、しっとりとして落ち着いた質感とされる。
純金ジュエリーが飛ぶように売れる北京の宝飾店店頭で、現地の消費者の生の声を聞いたとき、高揚した表情で「純金の強い輝きを見ると、気持ち良い」と答えた中国人の審美眼とは明らかに異なる。
なお、ゴールド・ジュエリーの最新店頭販売状況をウォッチしていると、50代と30代男性の購入増加が目につく。バブルの時代に顕著に見られた不倫需要(50代)とみつぐ君需要(30代)の復活の兆しなのだ。こられを総じて「下心需要」と筆者は呼んでいるが、同伴女性の前では値切らず定価で高単価アイテムを買ってゆくので、業界の利益率上昇には貢献している。
さて、来週はインド出張。CNBCクルーと一緒に現地金事情収録なのですが、撮影許可がなかなか下りず、直前になって、やっとOKが出ました。そのためのビザ申請も、父母の本籍地とか、細かな項目がビッシリ。こういうお役所仕事が、インド経済の足を引っ張っていると、しばしば指摘されていますが、今回は身をもって体験中です。
ニューヨーク出張が続いたあと、今、マネーが引いている新興国の代表的国へ行くので、NY同様、現地の空気をタップリ吸ってきたいと思います。(中国みたいにスモッグだらけでは、うっかり空気も吸えないけどね~~)。
金の世界でも、経常収支赤字減らしで、立て続けに金への関税を引き上げたり、財務大臣みずから国民に金購入を控えるように呼びかけている国だから、金特番収録などというと、よけいに神経質になっているのかな。
関税引き上げると、ドバイからの密輸が増えるだけだしね。
まぁ、私の(短期弱気なれど)金価格長期強気論の根拠である中国・インドの根強い文化的金選好度を確認してくるつもりです。