2013年4月17日
マクロで金を見る勘所は3つある。
1)株は楽観論で育ち、債券は悲観論で育つ。
金はといえば、先進国悲観論と新興国楽観論で育つ。
今回の金急落は、米国経済楽観論と中国経済悲観論に基づく。
2)金は「通貨」と「商品」の二面性を持つ。
近年、外貨準備として金を購入する新興国は多いが、原油やプラチナを買う国はいない。同じ「商品」というセクターでも、ここが金と原油の異なるところだ。
3)金高騰は金融政策不信を映す
ニクソンショックでドルと金の交換性が絶たれ、ドルは金の裏付けのないペーパーカレンシー(紙の通貨)となった。通貨の価値を、発行する中央銀行の金融節度に委ねたのだ。
リーマンショック以降、金価格が急騰したのは、米国の量的緩和による金融節度の緩みが懸念されたからであった。バーナンキ氏が信じられなければ、人々は、ドルの裏付けであった金を選好する。
キーワードは、ドルは刷れるが、金は刷れない、ということ。
しかし、FRBの量的緩和が出口模索段階に入れば、市場はその金融節度を評価して、金売り、ドル買いに動く。
今後、筆者が注目するのは、黒田日銀の異次元緩和で、円が物価上昇率2%に達するまで刷られる日本円と金の関係だ。
日本人投資家は、刷れる円より刷れない金を選好するのだろうか。
デフレが支配してきた近年、日本では大量の金が買い取りショップなどを通じて売却されてきた。いまや、日本は年間100トン以上の金を輸出する「金輸出大国」だ。
この状況が変化して、「金輸入」に転じれば、日本人投資家は黒田日銀の金融節度に疑念を持ち始めた兆しと解釈できる。
新金融政策はインフレ期待感を高めようとしている。そこで物価上昇率が「安定的」に2%で推移するという期待感が強くなれば、「インフレファイター」と「デフレファイター」としての日銀への信認は高まり、金が買われることはないだろう。
しかし、財政規律と金融節度の緩みが強く懸念される事態になると、インフレヘッジとして金が買われよう。
毎月発表される金の通関統計は、黒田日銀への信認度を測るひとつの尺度になるかもしれない。
さて、今日はタイムリーに日経CNBC主催「とことんマーケッツに聞け」というセミナーが大手町の金融ビレッジで開催され、講演&トークするのですが、私の講演テーマがアベノミクスです。
なお、それに加え、金暴落、これからどうなる、が大きなテーマとなりそうです。事務局の話では、かなりブログ読者の参加も多いとのこと。会場がどうなのか分かりませんが、ホールでもあれば、私の番の後は、そこらへんをウロウロしてますから(笑)、直接質問してくれてもいいですよ。
金価格は底割れしてしまいました。短期はまだ弱気ですが、長期10年強気は全く変わりません。私は円建て金を買っています!10年後の自分の生活を守るために。