豊島逸夫の手帖

Page1397 金急落、店頭は買い一色、記録的出来高

2013年4月18日

今週、円建て金価格も急落する中で、日本人個人投資家は一斉に買いに動いている。
先週、円建て金価格が30年ぶりの高値圏で推移したとき、貴金属店頭は投資家の売り一色であった。
僅か1週間で、売りから買いへの転換が鮮明だ。

一例をあげよう。
日本では京都で金がよく売れる。
独立店舗としては日本最大の販売実績を持つ貴金属店も、京都にある。従業員3名の規模の店に、今週はピーク時に40名の列ができて、店に入りきらず、列の後半は通りまではみでた。もはや顧客対応のキャパを超えたと判断した店主は、列の全員を店内に入れ、店のシャッターを降ろした。
ほぼ全員が「買い」。先週までとは正反対の動きだ。
価格が安くなったことが最大の理由だが、多くの顧客は、アベノミクスの経済政策が失敗した場合の備え(ヘッジ)として金を購入しているという。要は、不安感の中で、価格が下がるのを待っていたのだ。
今後円安トレンドを前提に考えれば、日本国内では円安分だけ金価格の下げが相殺されることも買い安心感を産んでいる。

この傾向は金ETF市場でも変わらない。
日本における代表的銘柄「金の果実」の出来高の推移をまとめてみた。

4月8日 146,009
9日 114,168
10日 103,647
11日 145,937
12日 90,058
15日 489,282
16日 756,353
17日 341,609


欧米の金ETFではヘッジファンドなどの大量の解約が相次ぎ、マネーが流出しているときに、日本の金ETFには日本人個人投資家のマネーが流入している。
欧米ヘッジファンドの売りに対して、日本人投資家は買い向かっているのだ。

実は、金の世界では、日本人投資家が欧米投資家に勝った実績がある。1999年、国際金価格が250ドルの底値をつけた年に、日本は世界一の投資用金購入国だったのだ。
その後、近年になり、欧米投資家が金を買い上げ、金価格が高騰するや、日本人投資家は一斉に利益確定売りに走ったことが、以下の統計から明確に見てとれる。

(ロムソンロイターGFMS社ゴールドサーベイによる)

日本の金投資需要 世界ランク 年平均金価格
1999年 103.5 トン 1位 278.57 ドル
2000年 52.0 2位 279.11
2001年 60.1 2位 271.04
2002年 86.6 1位 309.68
( 中 略 )
2010年 マイナス41.0 最下位 1224.52
2011年 マイナス47.2 最下位 1571.52
2012年 マイナス10.5 最下位 1668.98


そして、足元では金価格が1600ドル台から1300ドル台に急落しているときに、日本人は再び買いに転じている。
短期的にはニューヨーク先物市場のレバレッジのかかった先物売りが優勢なので、日本人現物投資家は買い下がることになるだろうが、長期的には結局、今回も勝利をおさめる予感がする。

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