豊島逸夫の手帖

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北朝鮮有事は買い ロジャーズ氏

2013年4月23日

「ミャンマーにはすでに多くの投資家が集まっている。今、投資を考えるなら北朝鮮がいい」
ジム・ロジャーズ氏の筆者との対談(日経マネー6月号)での発言だ。

そこで、先週末のシンガポールでの緊急対談(昨日本欄参照)では、「その後の北朝鮮情勢が急速に悪化したが」と突っ込んでみた。
答えは、「北朝鮮有事は買いだよ。あそこで、万が一カタストロフィック(破壊的)なことが起きれば、それが朝鮮半島統一のキッカケになりうる。あの地域は、金など魅力的な資源もある。ただ、北朝鮮へのエクスポージャー(投資マネー投入)といっても、投資媒体が少ない。でも、間接的にたとえば韓国関連を買う手はあるな。」
一般的なプロの発想として、buy disaster(有事や天災は買い)ということはある。相場がアンダーシュート(大きな下振れ)して、大幅なディスカウント(割安)になったときに買いを入れるわけだ。直接的な投資アクセスが難しければ、北朝鮮関連で今売られているセクターを買う選択肢はある。
「相場は絶望で生まれ、歓喜で終わる」という格言もある。
日本人の筆者は、北朝鮮へのこだわりがあり、個人的にはついてゆけないが、超長期投資家の彼ならではの発想と感じた。

69歳になる彼の現在の投資目的は、5歳と9歳の実の娘たち(孫ではない)のために資産を残すことにある。米国からシンガポールへ移住して、娘を中国人学校へ通わせるのも、「この子たちが成人する頃は本当に中国の時代」と読めばこそだ。その時点では、北朝鮮情勢も安定し、今のミャンマーのような人気投資スポットになっているかもしれない。
昨日日経マネーのコラムで、彼が円売りトレードを「crowded=混みすぎ」として敬遠していることに言及した。一貫して混んだ市場は避け、すいている市場を物色する投資スタンスだ。ミャンマーも3年前に注目して行動を起こしていた。
いま、彼は、北朝鮮、そしてロシアに興味を示している。

さて、金価格は旺盛な現物需要に支えられ、1420ドル台まで回復してきました。下げ止まり、ひとまず小康状態。ただ、急落で逃げ切れず、上に取り残された投機家が、価格が戻るとヤレヤレと売り戻しに入るので、上値は重い展開。
ただ、ここのところ米国マクロ経済指標の出方が悪いので、FOMCでも再び緩和継続論が盛り返す気配もあり、金急落をもたらしたマクロ経済背景にも若干変化の兆しが感じられます。
ドル円は100円つかなかったけど、これだけ皆が100円いって当たり前みたいに思っているときには、プロは手を出さないね。

さて、今回は、日経マネーの対談でシンガポールへ行ったけど、マネー誌の売れ行きが凄いらしいね。これもアベノミクス効果。アマゾンの雑誌ランキングで人気女性誌より上のトップ5に入ってきている。ただ、投資初心者には難解なコンテンツも多く、「お隣さんが株で儲けたのに、私は出遅れ、ムズムズするけど、マネー誌読んでも内容が理解できない」という俄かマネー読者も多い。そこで、日経マネーの私のコラムを、「中上級者閲読お断り」(笑)の初心者向け漫画コーナーに変身企画中。個人的にも、最近は、なにかチャレンジ精神をくすぐられるような新要素がないと、モチベーションが上がらなくなってきたから、こういう企画にはノリノリ♪
先日も添付写真のようなテレビ番組(日テレの深イイ話)に呼ばれて出て来た。出演者が大人数で、皆早口なので、さすがに私も会話に入れ切れなかったけど(笑)、個人的には面白い経験だったよ。

1400.jpgオール・アバウトという初心者向けネット媒体にも週2回は書いているし、今年は初心者向けにチカラを入れまする。仕事としては、機関投資家向けより遥かに難しいけどね!

2013年