豊島逸夫の手帖

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若者有利のアベノミクス

2013年3月7日

財務省の試算では10年後に国債残高が1000兆円を超えるという。少子高齢化が進行する中で、この公的負債は、若者たちへ、負の遺産として移転される。しかし、コツコツ働いて返済できるような金額ではない。増税で賄うとすれば、色々試算はあるが、30代で所得税40%とか、消費税30%などの大増税が不可避だ。しかし、とても選挙で勝てるような話ではない。政治的に不可能だ。
そこに、降ってわいたように「妙案」が出現した。
アベノミクスである。

もし、非伝統的金融政策によりインフレになれば、国の借金1000兆円は実質的に減価する。インフレは借金した側には朗報である。借金を引き継いだ若者の負担は実質的に軽減される。
しかし、国債の保有している側には、資産価値の大幅目減りとなる。
その国債保有者の多くはシニア層である。
結局、アベノミクスはシニア層から若者へ富の移転をもたらすことになる。
眠っていたマネーを活性化させる意味では、マクロ的に、望ましいことだと思う。
ただし、シニア層には、資産価値目減りに対するヘッジ対策が必要となる。
筆者の知り合いの中で、特に「JGB(日本国債)ヘッジ」として金を買いたがる人たちが、アベノミクス登場以来、急激に増えた。 その多くが、元経済官僚、元通貨の番人たち。退職金で金を買いたいという。
更に、円安で円の価値が目減りする中、元通貨の番人に、「退職金を円で持ちたくない。金は外貨投資。」と言われると釈然としない思いだ。


さて、金市場関連の話題としては、韓国が2月に20トンの金をまた購入した。

2013年