2013年12月20日
量的緩和縮小決定は米国経済好転の証しと囃し、株・ドルが買われた18日。そして一夜明けた19日のニューヨーク市場は、「宴の後」に冷んやりした外気に触れることになった。
まず、12月14日までの週の新規失業保険申請件数が37.9万件と、今年3月以来の高水準に増加。
そして、11月の中古住宅販売件数が490万戸(前月比4.3%減)と発表された。これは、2年半ぶりの前年同月割れである。
更に、12月のフィラデルフィア連銀製造業業況指数は7.0となり、小幅改善ながら、事前予想の10.0には届かなかった。
こうなると、18日の記者会見でのバーナンキFRB議長の一言が気にかかる。
「マクロ経済状況が変われば、金融政策も柔軟に対応する。量的緩和減額を減らすこともありうる」との「釘刺し発言」だ。
量的緩和縮小決定で、目先の不透明感が解消され、「安堵感」に浸っていた市場は、「ちゃぶ台返し」を最も嫌う。連日、史上最高値更新を続ける米国株式指数には徐々に高値警戒感が強まり、著名投資家などから「バブル警報」も発令されている。このような警戒モードのマーケットの中で、一般投資家はボラティリティー(価格変動率)が高くなる可能性に不安感を覚える。
しかし、この投資家の懸念をチャンスと見るのがヘッジファンドだ。
彼らは、連日の米国株高値更新に割高感を感じ始めたマネーが、次に草鞋を脱ぐ宿探しを始めている。
そこで、浮上しているのが、欧州株と日本株。
欧州株は緊縮疲れでドイツ頼みのアキレス腱をかかえる。
日本株については「3本の矢」が「3本の藁」と揶揄されるほど、成長戦略への懐疑感が強まっている。
それぞれに弱点もかかえるが、欧州株はバリュエーションがまだ低いので買い余地がある。
日本株には、日銀追加緩和期待がある。
オリンピックのごとくグローバル規模のマネー誘致合戦が展開されそうな様相だ。
オリンピックはイスタンブール(新興国)と日本の最終対決となった。
対して、マネー招致合戦はマドリッド(欧州)と日本の決選となりそうだ。
筆者が旧知のヘッジファンドは「I love Japan」と呟いている。
緩和縮小で、マネーの流れは、新興国から先進国に回帰となっているが、より詳しくいえば、新興国→米国→欧州と新興国→米国→日本の動きに分かれている。
日本株が米国株と連動する時代から、徐々に、日本株と米国株がマネー招致合戦のライバルとなる時代に移行する兆しが見える。
そして、金は遂に1200ドル割り込み、1280ドル台へ。
プラチナも1310ドル台。
かねがね書いてきたように、緩和縮小による下げは、それほど深くない。本当の下げは2014年後半の、利上げが現実的な問題として議論されるようになるとき。そこで1100ドル割れもあり得る(直ぐに中国インドに買われるだろうが。)
今回の下げは、クリスマス前でNY市場の参加者が減りつつある状況で起こった。ゆえに、乱高下しようが、底は深くないと思う。なんせ、バーナンキ氏は、昨日の記者会見で、縮小とはいえ緩和状態が続くことを強調しているからだ。
長期投資家にとっては、安値を拾うチャンス。
私もまた金を買います(増す)。プラチナも。。
ただ、円安でそれほど安くならないのだけどね。
円安でNYのドル建て金価格ほど派手な下げにはならない。