豊島逸夫の手帖

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円安、日中、TPPに触れるか オバマ一般教書演説

2013年2月12日

連休明けの市場はいきなり94円台半ば近くまで急速な円安の切り返しで始まった。麻生発言後に92円台まで円高に振れた「調整期間」も実に短かった。投機筋が円を売っては、安くなったところで買戻し、円高に調整したところで、すかさず再度、円売りを仕掛ける。いわゆる売買回転が効いている典型的な相場つきだ。要人発言に振り回される円相場と言われるが、筆者の元通貨投機筋の立場から見ると、投機マネーが要人発言を利益確定円買いや新規円売りの口実に利用している感のほうが強い。
新規投機マネーも参入中だ。「グレート・ローテーション」という言葉がはやっているが、外為市場でもHave you rotated?(ローテーションしたかい?)という会話が聞かれる。他通貨から円にローテーションしたか、との意味合いである。

さて、今週は、G20財務相・中央銀行総裁会議、日銀金融政策決定会合など重要イベントが続くが、12日にはオバマ大統領一般教書演説も行われる。特に、今年は、日本関連の言及の有無が注目だ。
具体的には、以下の問題につき、コメントするか否か。
1. 日本のTPP参加を歓迎
2. アジアの領土問題と日中関係への懸念と対応
3. 円安加速の中で通貨安競争抑制の必要性
いずれも日本名指しまではないだろうが、一般論としても演説に盛り込まれる可能性はある。それほどにhot issue、ホットな問題になりつつあることは確かだ。
安倍訪米を来週に控え、ゲームでいえば、先手、オバマ、というところか。
TPPに関しては、まさに自民党内での議論もヤマ場。反対派優勢という状況だ。仮にも、オバマ大統領が言及すれば、サプライズ「外圧」として無視できまい。
尖閣問題は、クリントン前国務長官が、踏み込んだ米国関与を「置き土産」としてバトンタッチしたばかり。照準レーダー事件直後で緊張が一段と高まっているタイミングで、オバマの一言があれば影響は大きかろう。
そして、冒頭にふれた円安。アベノミクスは和製英語だが、最近は「Abenomics」と英語でヘッドラインになる例も見受けられるほど欧米でも頻繁に使われる用語になった。オバマ大統領としても、国内産業に対する配慮を示す必要があろう。

以上、例年になく、日本への注目度は高まっている中での一般教書演説となった。
勿論、演説の主要部分は、(強制歳出削減発動も視野に入ってきた)米国財政、そして雇用、銃器規制、移民などの国内問題だ。特に「サンドイッチ世代」と呼ばれる中間層が、子供の教育と親の介護の板挟み状態に置かれ、実質収入も減少していることへの対応をまず語らねばなるまい。
なお、大統領一般教書演説は最大級の政治イベントで、毎年、大統領夫人の隣に誰が選ばれ座るかも、注目される。今年は、アップルCEOティム・クック氏になるようだ。時あたかも、アップル社、株価低迷打破の切り札として「iウオッチ」開発が11日の市場でも材料視されている。話題性の高い人選となった。

そして、金価格がレンジを下放れて欧米市場で1640ドル台まで急落した。アジアが春節中で、現物市場の下支えを欠き、200日移動平均線を下回ったことで売りが加速した。マネーは金から株へシフト中だ。しかし、国内金価格は円安進行で32年ぶりの高値圏にある。海外金価格は1600ドルの大台割れも視野に入ってきた。円建て金価格高騰の進行も減速・反落局面もありそう。

2013年