豊島逸夫の手帖

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量的緩和縮小でも緩和は続く、恐るるに足らず

2013年12月16日

テーパリングは12月決定でも3月決定でも、FRBの毎月850ドルの債券買い取り量を減らすだけであり、「量的緩和継続」の確認である。
市場は、QEというカンフル剤依存症に陥っているから、「カンフル剤投入を減らす」ときの、カラダのショック症状を恐れる。でも「ステロイドを抜くときの苦しみは一時的である。その後には、健全な経済が待っている。
主治医バーナンキ氏の見立ても、カンフル剤を減らしても、症状のぶり返しはないと判断しており、新任にイエレン氏への治療方針引き継ぎも万全だ。
テーパリングは米国経済改善の証しなのだ。

金融政策の視点から俯瞰すれば、テーパリングは金融政策の「大転換」ではない。本当の転換は「緩和から引き締め」への移行である。
イエレン次期FRB議長の最も困難なアジェンダ(問題)でもある。

ここでは、フォワード・ガイダンスという将来の金融政策動向を予め市場に伝える手法が重視される。利上げを主とする引き締めへの転換条件を失業率6.5%以下、或いは5.5%以下などと明示することで、ドル金利の乱高下など市場の動揺を予防する政策手法だ。

量的緩和は数字で債券買い取り量を決めるので直接的で分かりやすかった。しかし、フォワード・ガイダンスは「口約束」である。
FRBには、9月に大方の予想に反した「緩和縮小延期」決定というちゃぶ台返しの前例があるので、市場は「口先介入」を信じきれない。ここに金利波乱要因を見る。
テーパリングは未だ、前座に過ぎない。本当の試練はテーパリングの先、2014年後半以降に来る。
フォワード・ガイダンスが成功すれば、ドル長期金利は緩やかに秩序ある3%超えの「良い金利上昇」となろう。しかし、14年のイエレン発言にブレが生ずれば、長期金利のボラティリティーが高まる「悪い金利上昇」となり、乱高下を繰り返しつつ4%超えというシナリオになる。
この点が、2014年の市場を占う最も重要な勘所である。

さて、年末進行の〆切前の怒涛の1週間が終わり、ホッ。。。
やっと年末年始の遊び計画について考える心の余裕も出来ました(笑)。
こういうのは、どこに行こうか考えるときが一番楽しいもんだね。
今晩は8:30から日経CNBCの金特番生出演です。インド現地収録。
明日はまた京都に行って、明後日に京都ロータリークラブで講演。どうも私はセミナーを、戦略的に、おいしいものが食べられるところに決める、という下心ミエミエだね~(笑)。
寒くなってきたので、風邪だけには気をつけてます。独立したらカラダが資本だからね。風邪のため講演キャンセルなんて洒落にならんし。夜の席でも、タバコの煙には敏感で、必ず、「完全禁煙」の場所に限定します。私にとってタバコの臭いもオナラの臭いも同じ!
どっちも不快感を人に与えるけど、タバコのほうが健康も害する分、良くないと思う。
でも、オナラを恥じて人前で控える人でも、タバコ吸うことにためらいがないよね。特に地方にゆくと、禁煙に関する意識の低さをしばしば痛感します。座ったとたん、問答無用でスパスパ始めることに抵抗がないものね。

2013年