2013年7月31日
注目のバーナンキ後任については、本欄でも2回にわたり論じてきたが、候補者はイエレン現FRB副議長とサマーズ元財務長官の二人に絞られてきた感がある。更に、最新の米国CNBCによる市場関係者調査ではイエレン氏が75%と圧倒的な支持を集めている。やはり、市場は「政策の継続性・安定性」を求めるようだ。もし、イエレン氏となれば、初の女性FRB議長となる。
そして、ヒラリー・クリントン氏を2016年大統領選挙の民主党候補として推す動きも顕在化している。本人は出馬意向について一切コメントしていないが、国務長官辞任後のニューヨークタイムズとのインタビューでは「次に何をするかまだ決めていない」と含みのある発言をしている。更に、一般論として、「米国は2008年に初の黒人系大統領を選んだ。次に、女性大統領を選出すれば、歴史的なシグナルとなろう。適任の女性大統領候補が立てば、私は勿論、女性に投票する」との趣旨の発言を色々な席で繰り返している。元ファースト・レディーのエレノア・ルーズベルトが、女性政治家はサイのような皮膚が必要だ、と語ったことを引用して、「そのことは、今でも変わっていない。頑張って大胆に戦い、大統領選挙のプロセスに入ってゆかねばならない。そして、我が国が、信頼に基づき、(日本風に訳せば)清水の舞台から飛び降りる(leap of faith)ことが必要になる。」とも語っている。
キニピアック大学が行った世論調査では、予想される共和党大統領候補者3名との支持率比較で、クリントン氏がいずれも上回る、という結果も出ている。
「ヒラリーを大統領に」という政治支援団体も結成され、その公式フェイスブックでは支持(いいね!)が既に54万人を超している。
更に、オバマ大統領は次期駐日大使に故ケネディ元大統領の長女キャロライン・ケネディ氏を起用する人事を既に発表した。
大統領、FRB議長、駐日大使の3人が女性となる可能性が浮上してきたのだ。
日本で、首相、日銀総裁、駐米大使が3人とも女性というシナリオは極めて非現実的だが、米国であれば、絵空事とはいえない。
先日来日したフェイスブック女性COOシェリル・サンドバーグ氏は、著書「Lean In」のなかで、「キャリアはハシゴではなくジャングルジムだ」との言葉を引用している。日本は未だ縦割り社会の色彩が強く、「ガラスの天井」を打ち破って昇進した女性は、往々にして、同僚の男性からの「かわいがり」と称する実質的いじめに近い集中的社内仕事発注を経験したりする。「男の嫉妬」と戦わねばならないわけだ。こうした状況を打破して、ジャングルジム型のキャリア・パス(道筋)の企業内インフラを構築することも、アベノミクス成長戦略の一つとして考慮されて当然と感じる。
さて、今週金曜日は毎度お騒がせの米雇用統計。
その翌日8月3日のテレビ東京・BSジャパン午後12時5分からの「マネーの羅針盤」に生出演して、雇用統計後のマーケット全般について語ります。
なお、今週発売号のサンデー毎日では、中国のシャドーバンキングに関してコメントしています。