豊島逸夫の手帖

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ウォール街は、ゴーンびいき

2019年3月7日


ゴーン被告保釈はウォール街でも注目の話題だ。
総じて「ゴーンびいき」の口調・論調が目立つ。
出所にあたり「作業衣を着せられた」。子供たちは「父からの連絡を心待ちにしていた」。
メディアでも一貫して「ミスターゴーン」と表記される。


通常、CEOによる企業の私物化は米国ビジネス社会では厳しく糾弾される。しかし、ゴーン被告に関しては「尊敬されるトップ・ビジネスマンが、世界標準から外れた日本の司法制度の犠牲者になった。」との受け止め方が目立つ。筆者との対話でも「痛ましい、惨め過ぎて見ていられない。」という意味のpatheticという単語が連発されたことが印象的だ。

保釈については、精鋭弁護士の「ドリーム・チーム」が勝ち取った、との表現が興味深い。日本の司法制度が国際世論に屈したとの見方も少なくない。


市場の視点では、日産の社内ガバナンスの緩みが依然指摘される。
日本企業のコーポレートガバナンスはこの程度かとの質問がやはり目立った。ゴーン被告への同情論と、日産批判の対比が鮮明だ。

2019年