豊島逸夫の手帖

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どうなる韓国経済

2019年11月13日


金のエレクトロニクス(電子用)需要は2018年で288トンあります。それゆえ半導体市況への目配りも必要になります。特にボンディングワイヤと呼ばれる部品には超高品位の純純金が使われています。
国別生産量では台湾が最大ですが、韓国も第二位。しかしその座が危うい。

ここに日韓関係悪化が影を落とします。
半導体を使うスマホ生産では世界最大のサムスン電子に対して、日本がフッ化水素などの半導体生産に必須の材料を輸出制限したからです。
そこでサムスンはフッ化水素の「内製」つまり自前の生産調達に動いています。しかし事は易しくありません。


そもそもサムスンは半導体生産で日本勢に勝ち、スマホ生産のシェアを拡大しました。一方、日本勢は半導体生産装置、素材、部品などの供給という得意分野に特化することになりました。韓国は組み立て工程に特化。この日韓分業体制が今になって韓国勢に祟っているのです。そもそも韓国には儒教の影響で「モノづくりは使用人のやること」と軽視する傾向があります(大韓航空の「ナッツ姫」のような存在がまかり通るのも、上下関係が厳しく固定されている儒教の影響です)。その結果じっくり粘り強く取り組む基礎研究より、明日使える技術を追いがちな産業環境になったのです。それゆえ、韓国はノーベル賞の受賞者が歴史的に金大中元大統領一人だけ。一方、日本は科学部門だけでも計24人。今年も日本人受賞の報道に、韓国では「悔しい、苦々しい、オリンピックの金メダル獲得数では勝つのに」という論調が目立ちました。


サムスンが技術面で日本に追いつくかという点についても、韓国でミスター半導体と称される陳さん(90年代のサムスン半導体事業を主導した人)が、韓国メディアの取材に対して「日本に追いつくのは永遠に無理かもしれない。」と述べています。


そこでサムスン苦境の間隙を突いてきたのが中国勢。今や中国国内に1兆円相当規模の半導体生産工場を政府の支援で相次いで建設開始しています。中国はかつて液晶パネル生産面で韓国を撃破したので、次は半導体!と意気込んでいるのです。
日本勢も韓国を見切り、中国へ生産装置売り込み競争を始めました。100人規模で社員を中国に長期出張などの事例が出てきています。
但し、これはこれで中国とハイテク覇権を競うトランプ大統領から待ったがかかるかもしれません。既に欧州勢は「遠慮」しています。


なお、足元では5G商用化で半導体市況が持ち直し、関連株価も回復しています。しかし構造問題は依然残ります。
更に日本への影響も懸念されます。それは次回に。


そして社会派Jeffは沖縄辺野古の現場を視察中です!

右翼の宣伝カーをパトカーが追跡したり、基地前には反対派が座り続ける中で粛々と埋め立て工事が進行しています。現場で見ると現場ならではの緊張感をヒシヒシ感じます。これもまたレポートしたいと思います。
写真は辺野古の海岸と、対岸、キャンプ・シュワブの埋め立て中現場。そして名護の島バナナ。


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2019年