豊島逸夫の手帖

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有事の金復活か?

2019年2月18日


そもそも「有事の金」とは、米ソ冷戦時代に核戦争の脅威から資産を守るために、核戦争が起きても「価値が残る」資産ということで金が買われたことに始まります。スイスでは家庭用シェルターが建てられ、その中に金塊や金貨が保管されたものです。(今は、そのシェルターがワイン貯蔵庫に化していますが 笑)


しかし、米ソ冷戦の雪解け、特にベルリンの壁が崩壊したことで有事の金も必要性が薄れ、有事にはドルと言われるようになったのです。1990年代から2000年代初頭にかけて、欧州の中央銀行が外貨準備として蓄えた金を相次いで大量売却したことも、有事にはドルという考え方によります。


ところが今年は「新冷戦時代突入か」と言われるような展開になっています。INF中距離核戦力全廃条約を米露が相次いで破棄。まずトランプ大統領がロシアは同条約違反の核兵器開発を進めているので米国は同条約を破棄すると発表。対してロシアも米国が破棄するなら我が国も破棄すると応じたのです。


先週末にかけミュンヘンで開催された「国際安全保障会議」でも、米露に中国も絡み緊張状態が露わになっています。新たな軍備拡張の時代に突入する可能性も指摘されます。


その渦中で米ロ中包囲網に置かれたのが欧州。ドイツのメルケル首相は今やレームダック状態。フランスのマクロン大統領は「黄色いベスト運動」に揺れる国内政治優先で欠席しています。求心力を欠くEUに対して、トランプ大統領はNATO加盟国にGDP2%の軍事費負担を要求。欧米の軍事協力に大きなヒビが入っているのです。そこでほくそ笑むのはロシアと中国という構図。


日本の存在感は薄い。


このまま米露中の軍備拡張競争が激化すれば、世界は一気に「新冷戦時代」となりかねません。有事の金が復活する可能性もあります。

中国とロシアが外貨準備のドル保有を減らし、金保有増に動いているのもその兆しと言えるでしょう。


投機筋が相場を動かすために叫ぶ「有事の金」にはご用心と書いてきましたが、全く次元の異なる「有事の金」が浮上しつつあると言えるでしょう。


さて週末は、ABC朝日放送の番組出演のため大阪に行きました。朝の番組ゆえ前泊だったので、久しぶりに大阪で夕食となりました。20年来の知り合いの料理人が大阪の福島に店を開いたとのことで寄ってみました。職人気質で料理センスも抜群ゆえ、期待に違わず旨かった。福島には最近、こじゃれた若向きの店が増えていますが、やはり客層は若い世代中心の店です。店の名は「晩酌食堂Hanaco+」。

東京時代は私のお気に入りの鮨職人だったので、珍しい北海道のホッケの刺身、和歌山から直送ルートのマグロ、分厚いアナゴの白焼きなど刺身の種類も豊富でした。野菜や肉も徹底して素材にはこだわり、更に職人らしく細やかな仕事をしています。そして大阪では値段がリーズナブルでなくては生き残れません。激戦区で揉まれてたくましくなっていました。場所がABC朝日放送から至近距離なので、これからも「正義のミカタ」出演の時には寄るつもりです。気楽に知人も誘える店。東京、京都、札幌には行きつけの店がありますが、大阪にはなかったのでこれも良い機会(笑)。


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最後に、週末の産経新聞に「米中摩擦映す金相場 中国が金買いで米を揺さぶりか」というキャッチーな見出しの記事が出ています。↓


https://www.sankei.com/economy/news/190216/ecn1902160023-n1.html

2019年