豊島逸夫の手帖

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恐怖指数を揺らせたパウエル氏の一言

2019年8月1日

日本時間1日午前3時に発表されたFOMC声明文は、ほぼ想定通り。「適宜に行動する」という利下げ継続を示唆するFRB用語も盛り込まれた。市場も反応薄であった。

ムードが一変したのが、午前3時半から始まったパウエル議長記者会見で発した一言。

「(今回の利下げは)中盤の政策調整だ。」

2018年12月利上げが市場に思わぬショックを与えたことに対する反省から、12月利上げを取り消してバランスを図る調整と読める。

更にパウエル議長は、畳み掛けるように「長期的利下げサイクルの始まりではない。」とも述べた。

この時点でダウ平均は突然400超急落した。

マーケットでは0.5%幅の利下げ予測も飛び交い、年内あと3回利下げもあり得るとの観測も流れ先走り気味であった。そこにパウエル議長は強烈な牽制球を投げた。

その後パウエル議長からは「一回だけの利下げか、利下げ継続かコミットしていない。」と市場のショック的反応を和らげる発言もあった。しかし市場の不安心理は収まらず、結局ダウ平均は333安で引けた。

恐怖指数VIXも前日比20%以上急騰して16台に乗せた。市場の狼狽を映す。8月相場は荒れ模様の兆しにも見える。

外為市場ではドルインデックスがレンジの上限とされた98を大きく上回るドル高となった。0.5%幅までの利下げを見込んだ一部の通貨投機筋が失望のドル買戻しに走っている。

金利を生まない金の市場でも、失望感から見切り売りが先行してNY金は1430ドル台から1410ドル台に急落している。

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総じて、今回の記者会見でパウエル議長は中国欧州発の不安要因が「底堅い」米国経済に与える影響を懸念する可能性がある印象を与えている。

その不安要因の震源であるトランプ大統領は早速「FRBにはガッカリ。長期的利下げサイクルを市場も期待していた。」とツイート。FRB資産圧縮プログラムを2か月早く停止することには一定の満足感も示した。

市場には大統領選を視野に、トランプ大統領は米中貿易戦争のこれ以上の悪化は回避との見方が根強い。ダウ333下げもドルインデックス急騰も投機筋のポジション調整による影響が色濃い。

今回のFOMCで市場の潮目が変わったとは言い難く、行きすぎの調整局面に見える。

さて、この24時間大忙しで徹夜明け。FOMCというビッグイベントと、連日メディアを賑わすかんぽ生命問題の記者会見2時間半!が重なった。これから大阪読売テレビに移動して、今日のミヤネ屋に生出演。かんぽ問題について語る。

 

 

2019年