豊島逸夫の手帖

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かんぽ生命「不適切行為」の実態

2019年7月16日

2016年、かんぽ生命のキャンペーンキャラクターとなった高畑充希氏の歌ったCMソングの名前が「人生は夢だらけ」。今、問題になっている不適切行為が拡大したと思われる年です。今となっては、なんともやるせなく響くネーミングですね。

彼女の澄んだ歌声が全国に流れる中で、郵便局の現場ではノルマのプレッシャーが強まっていたのでしょう。

保険セクターは既に飽和状態。新たな契約を取ることは難しい。そこで「乗り換え」で実績を作るしかない。切羽詰まった現場の人たちは、あの手この手で販売手段を考えたと思われます。

顧客を説得して新たな契約を獲得した場合に、問題になるのはこれまでの旧契約の解約です。その解約が新契約締結日の4日前までか7日後ならば「新規契約」と認められ手数料も規定通り支払われます。しかし締結日を挟んで3日前から6日後の期間に解約されると、単なる「乗り換え」となり手数料も半分になってしまいます。そこで4日前までに解約させるか7日後に解約させるために顧客を誘導していたわけです。ところが4日前に解約させると締結日まで「無保険」の真空地帯が発生します。7日後に解約させると締結日後保険料の二重払いが発生します。このような状況を顧客が理解していたのか、特に高齢者が理解できていたか否かが今回の代表的事例です。局内で「後7」などという隠語めいた用語が飛び交っていたことに疑惑の目が向けられています。更に10年契約の保険を獲得した場合に、契約後2年経てば10年分の手数料が貰えるので、2年を境に急激に解約の事例が増えているという事例も怪しいですね。

顧客も銀行の預金通帳を見れば毎月二重払いなどにはすぐに気が付くでしょう。そこで1年一括払いにするという事例には隠蔽の意図を感じます。

先週は「ミヤネ屋」や「ウェークアップ!」でかんぽ生命問題について語る機会があったのですが、改めて地方での郵便局への信頼の厚さを感じました。

結局2900万件(日本の人口の1/4くらい!!)もの契約について、個々に顧客の意向を確認して場合によっては返還するというとてつもない検証作業に入るようです。当面、新規の営業は自粛。

2015年に2375円で売り出されたかんぽ生命の株価は、1700円台まで25%暴落中です。

投資家には「きずもの」を掴まされたという意識が強まり、見切り売りが目立ちます。

この問題の長期化は必至。

何せ全国に郵便局は2万以上ありますから、真相解明の過程で新たな事実も出てきそうです。

既に関係者のSNS投稿を禁じるなどのかん口令が敷かれているようですが、もぐら叩きみたいになるでしょう。上層部の真意も聞いてみたいところです。

そして今日の写真は梅雨の晴れ間の磐梯山を背景にゴルフ。

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2019年