豊島逸夫の手帖

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ポーランド、公的金100トン購入の理由

2019年8月21日

8月21日付け日経朝刊二面に「金高騰、買い手は中銀、6年ぶり高値、購入量最高ペース、ロシアや中国は脱米ドル依存」と題する大ぶりの記事が掲載されています。NY発でよくまとまった記事なので必読!

中国・ロシア以外にも、私の注目はポーランドがこの半年で100トン近くも買い増していること。7月に明らかになっていましたが、ロシアと国境を接して今も米軍が集結して臨戦態勢の国が、まさに有事に備える金を外貨準備として備蓄することは興味深い現象です。

米ソ冷戦が終わりベルリンの壁が崩壊した時点で有事の金は死んだと言われたものですが、どっこい、まだ生きていたのですね。

更に興味深いことは、その新規購入した金も含め一部をイングランド銀行に現物保管しているわけですが、その分をポーランド本国へ移送することです。EU離脱でどうなるか全く読めない国に国家の資産である金を置いておくのは不安ということなのですね。だからと言って、米露対立の狭間にある国に金を保管するのも、これまたリスキーな感じがしますが。

因みに、イングランド銀行はベネズエラ政府保有の金も預かっていたのですが、同国への経済制裁としてイングランド銀行に凍結しています。ベネズエラ政府は金塊返還を要求していますが。

さて今日は、テレ朝の「ワイド!スクランブル」で金特集を組んだので乞われてスタジオ出演してきました。ここのところテレビ出演は、米中貿易戦争とか中東情勢とかブレグジットとかかんぽ生命不正とか色々でしたが、金を語るのは久しぶり。サッカーで言えばアウェイのゲームからホームゲームに戻った感じ(笑)。

それにしても、未だに有史以来採掘された金がプール4杯分とか言うと、スタジオ全体が「へぇーーー知らなかった。」と驚きの反応。これって業界が40年前から言ってきたことなのだけど、まだまだ金の知識は普及していないことを痛感。それから「買い取り」に異常なほど興味を示しています。金の眼鏡とか万年筆にも金が使われていれば、金の純分相当は買い取ってもらえるという話に、これまた「へぇぇえーー。」。なんでも番組OA中に局に電話の問い合わせが殺到したそうですよ。通販の番組じゃあるまいし(笑)。

でも金高騰で注目されている時期だからこそ、地道に金の基礎知識を飽きることなく淡々と伝えてゆきたいと思いました。

あ、それからあの番組のメインキャスターで番組の冠にもなっている「大下容子」さん。

とても感じの良いバランスのとれた方でした。さすが冠に名前が入るだけのことあると実感(世俗の事に疎いので、彼女のことは全く知らなかった)。

2019年