2019年7月1日
大阪での米中トップ会談の結果はほぼ市場の想定内であった。
とは言え、会談決裂、対中関税追加引き上げという最悪のシナリオも覚悟していただけに、当面NY株式市場は歓迎の姿勢だ。一方、リスク後退で金は1390ドル台まで急落中である。
想定外のサプライズもあった。
ファーウェイへの禁輸が米国製品で米国安全保障に脅威とならない範囲で一部解除された。
板門店での米中トップ会談も「握手とハローの挨拶」程度と見られていたが1時間近くに及んだ。
時あたかも米国市民の関心は民主党候補者のテレビ論戦に集中しており、そこに板門店で米国大統領が国境をまたぎ北朝鮮領内に足を踏み入れる写真が飛び込み、劇的なビジュアル効果が演出されている。
とは言え、トランプ氏のジレンマは米中・米朝緊張が緩和されれば自らが渇望する利下げの確率が低くなる可能性があることだ。
米国の製造業関係の経済指標は悪化の傾向を強めているが、追加関税が回避されれば製造業関係者の抱く不安感も幾分なりと和らぐかもしれない。
市場心理も複雑だ。
トランプ大統領のG20日韓訪問土産は中国と北朝鮮模様の派手なリボンで飾られたボックスだが、その中身は未だ披露されていない。
今回のG20には参加せず留守番役を務めたカドロー国家経済会議委員長は、米中貿易戦争休戦協定について極めて慎重な見方を示している。
市場も中国が米国側の要求どおりに「法改正」にまで踏み込むことはあり得ないと見ている。ハイテク覇権争いも両国の「核心」に触れる問題ゆえ、もとより市場が期待するところではない。北朝鮮は米国が要求する全面非核化に応じるはずもない。
期待のハードルは低く、今後のトランプ・習近平・キム委員長の一言で株式市場の歓迎モードが一気に冷めるリスクを孕む。
G20終了後、米国の国内政局は一気に大統領選挙ムード一色となり、トランプツイートも有権者を意識した発言が連発されよう。
支持率を上げるためには過激な表現も使われることが予想される。
それが株価を下げる影響があろうとも、トランプ大統領は辞さずの構えだ。
ゆえに市場も割り切っている。それより、やはり気になるのは今後のパウエルFRB議長の発言であろう。市場が利下げ方向へ先走りする傾向をけん制しつつ、徐々に金融政策の転換に動いている。
大統領とFRB議長の関係が発する不協和音が、中国と北朝鮮からのノイズより強まりそうな7月相場である。
さて、週末にかけG20のプレスセンターに行ってきた。
写真がG20土産(笑)。マグカップは排プラを考慮して関西地区の紙製。
大阪市内は混乱なくタクシーも空車が街を徘徊していた。ホテルなどで客待ち駐車できないので街中を走り廻っているのだが客が居ない。
夜になったらゴーストタウンみたいになって気味が悪かったよ。
こんな記事の最後にコメントが引用されていた。↓
https://www.sankei.com/politics/news/190628/plt1906280049-n1.html
それからG20は「歌舞伎の顔見世興行」程度という冷めたコメントも別途引用されていた。日本のメディアは大はしゃぎだったけど海外でG20は話題にならず。だって昨年12月アルゼンチンで開催されたG20のことなど殆ど話題にならなかったでしょ。あの時も米中トップ会談で関税合戦に休戦協定が結ばれた。その後米国が中国側に実務レベルでの合意内容を書面で確認したら、中国(具体的には中国共産党)が一転白紙撤回して今回に至るという過程だった。