2019年3月25日
最新人事で空席のFRB理事ポストに元陣営幹部・現経済評論家のムーア氏を指名して、執拗にFRBに低金利圧力をかけ続けるトランプ氏にもひとつ誤算があった。
利上げせず米国政策金利を低位に据え置き、一方でFRBが長期経済観測を低めに出すと短期金利と長期金利が接近して、更に逆転のリスクがある。これは過去の事例では不況の兆しとされるので、トランプ氏が政権の成績表と位置付ける株価には下げ要因となる。
そのシナリオが22日NY市場で現実化した。
振り返れば20日にその兆しが見られ、ウォール街の一部では話題になっていた。1年国債利回りが2.52%に対し、2年国債が2.46%、3年国債が2.4%と短期国債の間で「逆イールド現象」が生じる局面があったのだ。
更に、21日のFOMC声明文と同時に発表されたFRB最新経済見通しでは、2021年の実質GDP成長率が1.8%、失業率が3.9%、インフレ率(コアPCE)が2.0%と低成長低インフレを予告するかの如き数字が並んだ。その結果10年債利回りには下げ圧力が強まっていた。
この流れの中で22日に長短金利逆転現象が生じ、ダウ平均が460ドル急落したのだ。NY金は1315ドルまで上昇。日本時間に入り、本日は日経平均700円超の急落を演じている。
22日の米国債利回りは以下のとおりだ。
1か月 2.47%
3か月 2.45%
6か月 2.47%
1年 2.45%
2年 2.31%
3年 2.24%
4年 2.24%
7年 2.33%
10年 2.43%
30年 2.87%
「2%クラブ」と言われるように、アンクルサム(米国のニックネーム)におカネを貸すにあたり、期限が1か月でも30年でも2%台だ。異常としか言いようがない。
前日比の下げ幅は3か月物から1年物が0.01~0.02%程度に対して、2年物から10年物は0.1%前後になっている。債券市場で0.1%(10ベーシスポイント)はかなりの下げ幅だ。
通常、逆イールドが議論される時は、10年債と2年債の利回り格差が指標として使われる。22日時点でこの長短スプレッドは逆転していない。1年以下の短期債利回りと10年債利回りが逆イールドになっている。
市場の関心はこの不吉な異常現象がいつまで続くかということだ。
結論から言うと、場合によっては1年以上の長期に亘る可能性がある。
筆者が10年債と2年債の利回りスプレッドを日次データで検証したところ、前回の逆イールド現象は2005年12月17日の0.01%に始まり、2007年6月5日の0.01%で終わっている。その間プラス・イールド格差に戻った時期もあり、マイナス幅が0.19%まで拡大した時期もある。
そして、その後にリーマンショックが起こった!
今回も構造的な低インフレが長期化する過程で、これも構造的高債務体質に悩む中国・欧州経済の不安などが安全資産とされる米国債買いを誘発した結果なので、長短金利逆転現象は長引きそうだ。
一時的にスプレッドがプラス圏に戻っても、再びマイナス圏突入の可能性を覚悟せねばなるまい。
株価は厄介なお荷物を抱え込んだ感がある。
金には上げ要因だ。
今日の写真はまず、週末、大阪・福島地区で、今や私の大阪での馴染み「晩酌食堂Hanaco+」に寄って、ランチタイムのマグロ丼定食。これだけ良質のマグロたっぷりで1000円は安い。さすが大阪!
次に、春スキーのガーラ湯沢でピッツァ。この季節にしては珍しく樹氷が出来るほど新雪でピーカン。コンディション最高だったよ。