2019年4月16日
最近、証券会社やFPから「ポートフォリオの10%は金で運用せよ。」との声が目立つようになりました。
資産運用の主役である株価は視界不良です。足元で上がっても高値警戒感は強まります。そもそも景気減速という市場環境でリスク資産の代表格=株が買われるのは「不況下のカネ余り」現象と言えるでしょう。
かくして主役が不安の時、お声が掛かるのが脇役の金。
金の供給サイドの「新産金」は明らかに現水準で長期的にはピークアウト=頭打ちです。陸の金鉱山で残っているのはジャングルの奥地とか山の上とか、過酷な自然環境にある埋蔵量と海底の金鉱床が中心。今の価格水準では開発・採掘コストが高過ぎて鉱山会社の損益分岐点に達しません。新たな金鉱脈開発案件が激減しています。通常、金鉱山は開発開始から実際の操業が始まるまで3~5年はかかります。それゆえ5年後の金生産量は激減するかもしれません。大手金鉱山会社の合併も目立ちます。生産量を増やせないから少しでも管理部門などを共有してコストを下げ生き残りを図る戦略なのです。唯一、供給が増える可能性があるのはリサイクルでしょう。それも金価格が1200ドルの低水準では「買取」に出される金の量が減ります。1500ドル程度になればリサイクルが急増するでしょう。それゆえ供給サイドから見ると1500ドルがレンジの上限と考えられます。これはあくまで供給サイドの視点。需要が増えれば1500ドル以上に上がります。
一方、1200ドルを割り込めば掘っても損をする金鉱山が徐々に増えてゆきます。但し、価格が安くなれば現物需要は中国・インドを中心に確実に盛り上がります。その結果、需給が締まり底値圏となるのです。覚えていますか、NY金が1200ドルを割り込んだ時、中期的には底値圏になるとこのブログで書き続けたことを。短期的に今が大底と当てるのはプロでも至難の業ですが、価格水準が底に近いことは予知できるのです。但し、NYの金先物価格が急落する時は大概メディアで「金の輝きは失せた」との見出しが躍るものです。実はこういう時が長期的に買い時なのですが、個人投資家が「輝きが失せた」とされる金の買いに入るのは清水の舞台から飛び降りる気持ちですよね。どうしてもメディアが「有事の金!」などと囃す時の方が心理的に勢いで金を買おうかという気持ちになるものです。でも実は有事の金はプロにとって相場のピークの予兆なのです。
では今の状況はと言えば、リスクだらけの世界で金価格は出遅れていると思います。そこに割安感が生じ、中期長期の資産形成でそろそろ10%を目途に金を積み立てようという機運が冒頭に書いたような金買い推奨となって顕在化しているのでしょう。
さて、今日の写真は季節の生菓子@ミッドタウン虎屋。青笹の葉で道明寺生地を包んだ一品。名付けて「笹衣」。