豊島逸夫の手帖

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リスクオンでNY金、今年最安値水準に

2019年4月17日

NY金が1270ドル台まで続落。年初来の安値圏です。ドル円は112円水準で変わらないので円建てでも下がってますね。

野球に例えて言えば、3回裏に同点打でゲームが振り出しに戻った感じでしょうか。

世界の市場は今年同時不況の可能性が危惧され、主要国の中銀が相次いで金融緩和に舵を切ったことで、投資家心理としてはハイリスクでもハイリターンを狙いたくなっているというのが「リスクオン」の意味です。

金は投資家がリスクを警戒して慎重になる、所謂リスクオフの時に買われる傾向がありますから、リスクオンだと売りに転じるという解釈です。

昨年末の段階では今年2019年は金融正常化の年、つまりリーマンショックへの有事対応と言える量的緩和から完全に脱皮する年になるはずでした。米国では量的引き締めに転じると言われました。ところが中国・欧州発で世界同時不況の恐れがあるので金融緩和を継続するということになったのです。その結果、不況下にマネーが溢れるという異常事態になりました。年末には全く予想されなかった展開です。

中央銀行がマネーを垂れ流すという状況では、金市場にも溢れたマネーが流入しても不思議はないのですが、足元ではハイリターンを求めて株式市場に流入しています。

とは言え、いずれ世界を回遊するマネーが金市場にも入ってくることになるでしょう。

所謂「循環物色」という現象で、回遊魚の如く色々な投資先にマネーが出たり入ったりするのです。

長期投資の視点では、中国やインドの金市場に流入したマネーは長期保有されるので長居します。浮気な投機マネーの動きに惑わされず、じっくり長期を見据える視点が重要です。

ずるずる下がり続けるような相場ではありません。


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2019年