豊島逸夫の手帖

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25%追加関税発動されたらどうなる

2019年5月9日

明日10日日本時間午後1時1分に25%追加関税が発動される可能性があるので、私は午後2時からの「ミヤネ屋」に生出演して読売テレビのスタジオから生中継コメントする。

果たして対中追加関税25%が明日10日に発動されるのか。全ては、今日9日にワシントンで劉鶴中国副首相も出席して行われる米中貿易協議の結果にかかっている。

マーケットでは、個々にNYの市場関係者と話すと米中共倒れになりかねない「ギャンブル=賭け」は回避するとの見方が多い。

一方、大手投資銀行は発動の可能性を高く見る傾向がある。

例えばゴールドマンサックスは発動の確率を60%、更に3千億ドル相当に追加関税の確率を25%と予測している。

では実際に発動されたら市場はどう反応するか。

NY株価が5~10%急落との予測が多い。

既に最高値水準だったので、下げ圧力が強い地合いと見ている。

既に空売りして「噂で売り、ニュースで買い戻す」トレードを目論むヘッジファンドもある。

総じて、追加関税発動で売り込まれたところは押し目を拾うとの意見が目立つ。25%関税の経済的影響は大きいがマクロ的に俯瞰すれば、いきなりGDPを押し下げるのではなくジワリと効く要因となる。追加関税適用される業種から波状的に影響が拡散してゆくので、その過程で短期売買を繰り返す意図である。「我々には3.2と3.6がある。米国経済は関税に対する耐性がある。」との意見が象徴的だ。経済成長率3.2%、失業率3.6%のことである。

日本株に話を向けると、日経平均が2万円近辺まで下がれば買いとの答えが多かった。日本市場は外国人プレーヤーが牛耳っているから、まず売りから入ると平然と語られると足元を見られている感がある。

一方、読みにくいのが中国株価と人民元相場。急落すれば株式市場では「国家隊」が買い支え、外為市場では中国人民銀行が介入で支えるだろう。放置すれば世界に連鎖するリスクを孕む。

更に、追加関税の米国金融政策への影響も注目されている。

今回は追加関税の適用品目が日常消費財にも幅広く及ぶ。家具、家電、衣類、ハンドバッグ、スーツケース、シャンプー、香水、食器、寝具、自転車、肉、シリアルなどが挙げられる。

これらの商品に課せられた関税が消費者に転嫁されると、庶民感覚では「値上がり」と受け止めインフレ期待が強まる可能性がある。金融当局としても、どこまでが「インフレ・イリュ―ジョン」幻のインフレなのか見極めが必要となろう。低インフレが重視されている経済環境ゆえ、看過できない現象だ。

金融政策の対応としては「利下げ」が視野に入る。これが反騰のキッカケとなる可能性がある。

かくして、マーケットは臨戦態勢で身構えている。

そして今日の写真はこんにゃくの刺身。大好物~。

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2019年