2019年7月18日
レイ・ダリオ氏と言えば、カリスマヘッジファンドで彼の発言がNY株価を動かす事例も少なくない。「当たりや」として投資家から最も注目される人物の一人だ。
17日はダリオ氏がSNSリンクトインに長文の論文を投稿して金を推奨したことで、NY金が1400ドル近傍から1420ドル以上まで急騰した。
ダリオ氏の論旨は以下の通り。
「FRBが金融正常化に動いたが、道半ばで利下げ・資産圧縮停止と逆戻りせざるを得ない状況だ。量的緩和でリスク選好は高まったが、同時に企業・政府の債務も膨張して中央銀行の緩和圧力を強めた。その結果、財政ファイナンスと通貨価値下落は必至だ。」
「多くの投資家が株式市場にシフトするとリターンは逓減する。ウォール街の最長の強気相場の後で、投資として何が有効かマインドセットを変える必要があろう。私は、多くの投資家が現在はアンダーウェイトの資産としてしている金を挙げる。金をポートフォリオに加えることでリスクを低減させ、リターンを上げると考えるからだ。」
今年金価格が上昇している理由を教科書的にまとめている。それがカリスマから語られると市場へのインパクトは強まる。
投資家へのアドバイスとしては「パラダイムシフトが起きる時には、殆どの人たちが過度な人気の投資に入り込みすぎて、手ひどく怪我を負う。このシフトを理解していればうまく立ち回り、自身を守ることが出来よう。」と述べている。
ちなみにダリオ氏は、最近「現在の形での中央銀行はいずれ時代遅れになり、MMTのような別の仕組みに取って代われるのは不可避。」とも発言してウォール街の話題になったばかりだ。
米中貿易戦争に関しては「中国は我々が引き続き投資する必要がある場所だ。中国には長期にわたって機能してきた文化とシステムがあるため、それが大きく変わると想定すべきではない。米国も同じだ。お互いを傷つけるのではなく、お互いから学び、お互いを高めるために協調・競争するべきだ。」と語っている。
今年のダボス会議でもパネルディスカッションに参加して「私が長期的に最も恐れているのは金融政策の限界だ。」と論じていた。
そもそもドルの代替通貨として金が買われるのも、米国金融政策への不信を映す現象と読める。
7月FOMCを控え、ダリオ発言は利下げ論争にも一石を投じた。
そして今日の写真は千疋屋の懐かしいフルーツポンチ。梅雨時には最適の涼味だね。