豊島逸夫の手帖

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迷走米中貿易協議で儲ける人たち

2019年10月10日

連日、米中貿易協議に関する様々な観測報道が流れ、市場は一喜一憂している。

8日は悲観的見方が優勢となりダウは313ドル安。9日は一転楽観論が支配して同181ドル高。

VIXも8日は警戒水域の20を突破。9日は18まで下落。

9日はまず、FTが中国、米農産物輸入拡大と報道。ブルームバーグは中国側が部分的合意を受け入れる姿勢と報道。但し、トランプ政権が関税面の圧力を和らげるとの条件付き。

一方、ロイターは中国筋の話として、今週の交渉は行き詰まる可能性があり期待のハードルは低いと報道。株価の上値は重くなった。

結局一つだけ確かなことは、全面合意は無理筋、決裂は回避ということだ。ミニディールと言われる部分合意を巡り、日米貿易協議の前例が9日にも引き合いに出される。

市場は部分合意なら御の字として歓迎する姿勢だ。10月15日に迫る2500億ドル分に対する対中関税25%から30%へ引き上げが回避されれば株価は急騰しよう。

マーケットの反応は米中協議とFRB利下げの二つの変数の複合要因に注目している。

10月15日に追加関税が発動されれば10月29~30日開催FOMCでの利下げ観測がほぼ100%に近い水準にまで上昇しよう。

そこで追加関税の景気下押し効果と利下げの緩和効果が吟味される。緩和効果を重視すれば悪いニュースが良いニュースになる。どちらを市場が選択するか。結局その時の売り買いポジションにより都合良く解釈してみせる。

一方、10月15日に追加関税が回避されれば利下げの切迫感は後退する。初期反応は歓迎だが、利下げ観測後退が株価下げ要因として蒸し返される可能性が残る。

更に、9日に発表された9月FOMC議事録を見れば、12月10~11日開催FOMCでも利下げの可能性が残る。市場が見込む12月利下げ確率も50%を超える。

ここでも12月15日発動予定の1600億ドル相当の中国製品に対する15%の追加関税の行方が利下げ決断に大きく影響することは確かだ。ノートパソコンや携帯電話が含まれるので、消費者マインドに与える影響をFRBも無視できまい。

かくして極めて流動的な市場環境が年内は続きそうだ。

弾劾問題、そして反ウォール街のウォレン民主党候補躍進という変動要因は価格変動を増幅させる。

このボラティリティーが高い状況は、解約増に危機感を強めるヘッジファンドにとって挽回の絶好のチャンスとなろう。

投機筋は色めき立つが、長期投資家は一喜一憂せず粛々と投資姿勢を維持する状況が続きそうだ。

NY金は先述のロイター電に反応して1515ドルまで足元で急騰中。

流れとしては、1450ドルを「偶然な成り行き」とするにせよ、中期的下値と確認できたことで一定の安心感が醸成されている。

さてさて猛烈台風接近中。

この3連休に仙台でのセミナーが予定されていたのだけど果たしてどうなるか。私としては新幹線に長時間閉じ込められるなんてのは真っ平ご免だね。主催者側も決断が悩ましいみたい。

台風、地震、自然災害に備え、私は出張する時はまず新幹線閉じ込め状態を想定して、おにぎりとペットボトル水、そしてスマホ充電は4個くらい(ネット機材5個持ちだから)、常備薬1週間分は常に携行してるよ。どこでも、いつでも、眠れるので、こういう時には便利(笑)。

事務所が高層マンション高層階で東京ベイに面しているので、今日中に諸々整理しておかねば。ガラスの耐性がやや心配だけど。でも何と言っても困るのは停電だよね。事務所機能がいかに電気依存か、こういう時に思い知らされる。


今日の写真はパフェ・パーラーの前で満面の笑みの「たまねぎ男」風ヘアのおっさん(笑)(笑)。

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血糖値ダイエットから解放され、年初から体重が8キロも増えた。金は40年振り高値。私の体重は長く続いた低位ボックス圏を上放れ高値更新中。もともと痩せすぎだったから、写真でも分かると思うけど外観はさして変わらない。

 

2019年