豊島逸夫の手帖

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対中追加関税の衝撃、金は2013年以来の高値に

2019年8月2日

約33兆円相当の中国製品に9月1日から10%の追加関税を課すとのトランプツイートは、まさに青天の霹靂。市場のほぼ誰もが想定していなかった。

ツイート直前までNYダウは300を超える上昇を演じていたのだ。前日のFOMCはパウエル議長のタカ派的発言に当惑したが1日には落ち着きを取り戻し、基本的なハト派姿勢は変わらないとの見方からNY株は買われていたのだ。

しかし午後になり対中追加関税が報じられるや、ダウは高値から一気に500超急落。前日比で200超の下げに転じた。追加関税第四弾は日用品も多く含むので小売り株の下落がきつい。

午前中に相次いで楽観的見通しを発表していた大手投資銀行も、口あんぐりで静まり返っている。

外為市場では円高が109円台から107.40台まで急進行した。

VIXも前日に続き急騰。18の大台に乗せた。警戒水域とされる20が視野に入る。

更に商品市場も直撃。WTIが7%近く下げ54台となった。市場では4年ぶりの下げ幅とされる。金は1400台から1450近くまで急反騰。2013年以来の高値である。FOMCで下げ、トランプツイートで上げ、目まぐるしい展開だが基本的上昇基調が改めて確認された。

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この市場混乱を早速記者団から問われ、トランプ大統領は株安も辞さずとの姿勢を示している。中国側から良い条件を引き出す「ディール」の過程では、やむなしとの判断だ。

そもそも、この突発的な決断劇は午前中のホワイトハウスでの出来事から始まる。上海で米中閣僚級貿易協議に臨んだムニューチン財務長官とライトハイザー通商代表から交渉の報告を受け、即追加関税をツイートしたとされる。

追加関税が25%ではなく10%であったことを問われ「中国の対応次第で25%にもなり、逆に撤回もあり得る。」と答えている。

9月1日の期日まで、まだ紆余曲折は覚悟と市場は身構える。

この結果、9月の利下げ確率は7割程度まで急上昇している。

深読みすればパウエル議長前日のFOMCによる利下げが0.25%幅に留まったことに不満を示していたので、その意趣返しだったのか。

米中貿易戦争などの外的要因を注視して予防的利下げに踏み切ったパウエル議長から見れば、想定していた展開が翌日にいきなり生じたことになる。特にトランプツイート直前に発表された7月ISM製造業指数が51.2と約3年ぶりとされる低水準に落ち込んでいた。ドクターパウエルの予防注射投与は正しい判断だったと言えよう。

そして本日は雇用統計発表の日。

市場は息を抜けない緊張状態が続く。

対中追加関税という新たな火種も抱え、8月相場は荒れ模様である。

さて昨日はFOMCで徹夜。そのまま大阪へ直行。ミヤネ屋でかんぽ生命問題について30分ほど生出演。

番組終わって、新大阪駅で最近私のお気に入りの焼き立てチーズケーキを購入。フワフワで軽いから東京駅着までに一個全部たいらげた。これ725円は安い。さすが大阪。東京にも来ないかな。連日通うのに(笑)。

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2019年