豊島逸夫の手帖

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くすぶる中国、量的緩和発動の可能性

2019年3月15日

中国の金融緩和策と言えば、市中銀行から人民銀行が強制的に預かるおカネの比率を示す「預金準備率」引き下げが典型だ。しかし、10日の記者会見で、易綱中国人民銀行総裁は、「預金準備率の下げ余地は数年前と比べると大幅に狭まった。」と語った。

もうひとつの金融緩和政策である「利下げ」にも慎重だ。金利を下げれば中国からのマネー流出が再加速するリスクがある。直接的人民元安誘導策との誹りも誘発しよう。そもそも貸出金利を下げても、景気減速が顕著な状況で資金需要は盛り上がらない。

更に、中小企業資金調達の「シャドーバンク」依存体質にメスを入れる「構造改革」も民間企業に強い痛みを強いる。国有企業優先で民間企業救済は後回しとの「草の根」不満感も根強い。今、シャドーバンク規制を更に強化させれば、財務自転車操業の中国民間企業発行の社債デフォルトのリスクも高まる。

そこで中国経済テコ入れ、起死回生の一策として「量的緩和」導入の可能性が浮上している。金融メディアの財新でも報道され、上海株式市場では待望感も聞かれる。

対して中国人民銀行幹部は否定している。

とは言え、今後中国政府のインフラ投資は増える。国債増発は不可避だ。長期金利には上昇圧力がかかる。

そもそも中国人民銀行に政治的独立性は無い。党指導部の意を受け動く優秀なテクノクラート集団だ。

易綱総裁の立場も微妙である。副総裁郭樹清氏の方が党委員会書記という政治的肩書で党内序列は高いのだ。易氏は人民銀行生え抜きで流暢な英語を話すので、専ら外向きの顔とも言われる。

しかも郭氏は強い権限を持つ中国銀行保険監督管理委員会の主席も兼ねる。昨年、銀行監督の銀監会と保険監督の保監会が統合され、シャドーバンク規制強化など金融構造改革に向けての習政権の本気度を示す動きとされた。しかし、足元では景気優先の姿勢が強まり構造改革も号令だけが虚しく響く。

量的緩和に関する議論も党の意向を反映した金融緩和政策のひとつの選択肢として市場内ではくすぶる。

とは言え、米国側から見れば人民元安政策と映りそうだ。

それゆえ未だ不透明な米中通商協議の結果次第で現実味を増すシナリオと考えられよう。

このシナリオは金が買われるシナリオでもある。

人民元は刷れるが金は刷れない!

今日の写真は「ミモザ・ケーキ」。ふんわりスイーツ@自由が丘マガーリ。

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なお、近畿・中京・北陸・福岡地区の皆さん、明日土曜朝9時半からABC朝日放送系列で「正義のミカタ」生出演します。テーマは中国経済。またまた吉本芸人相手の突っ込み突っ込まれ情報番組です。楽しんでいますよ。あの時間帯で視聴率10%超えって凄い。。。

 

 

 

 

 

 

2019年