豊島逸夫の手帖

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最近の金価格動向

2019年5月22日

今のマーケットは米中貿易戦争一色。トランプ発言に一喜一憂して金価格も1270ドルから1300ドルのレンジを行ったり来たり。短期投資の人には値動きがなくてつまらない相場。

長期投資の人には値動きが安定的で、これぞ「安全資産」という相場。

今や関税合戦の貿易摩擦から、米中ハイテク覇権争いの様相を呈してきました。

関税合戦ならxx%関税引き上げ、対象品目はxxと特定できるので市場への影響も測りやすい。

しかし米中ハイテク戦争となると、これは5Gの先陣争いなど長期的な話です。その市場への影響と言っても俄かには測りがたい。あまりに大きくて消化も織り込みも出来ません。短期投機筋も手の出しようがないので、価格の変動(ボラティリティー)はさほど高まらないでしょう。

具体的にはファーウェイ社が米国から狙い撃ちされ、手足をもがれるような米国からの部品供給停止などの制裁対象になっています。とは言え、今回の米中貿易戦争がなくても世界を征するハイテク覇権争いは勃発したでしょう。両国ともいずれ正面から対峙する時が来ることは覚悟の上。ファーウェイ社もそこまで読んで半導体製造を外にだけ依存せず内製化の準備をしていたわけです。但しOSなどソフトの方はグーグル依存ゆえ、内部開発と言っても難しいでしょうね。

実は私はファーウェイ製品ファンです(笑)。

仕事上モバイルオフィスで、常にパソコン(東芝)、タブレット大(サムスン)、タブレット小(ファーウェイ)、スマホ(SONY)という組み合わせ。2万円ほどでビックカメラで衝動買いしたファーウェイ・タブレットが使い勝手も画像も反応速度も良く、最も頻繁に使っています。特に中国に盗まれて困る情報もないし(笑)。

5G開発にしても日本は業界全体で年2~3兆円だけど、ファーウェイ一社で5兆円。

そのファーウェイが今や危機的状況にあるのは間違いないでしょう。

しかしこれも今後続く米中ハイテク冷戦時代の中ではひとつの出来事。

マーケットで日々価格の乱高下を誘発する材料ではないけれど、ボディーブローのように数年かけてジワリジワリと効いてくる要因でしょう。

米中どちらが勝つか。貿易戦争に勝者はないがハイテク戦争は勝ち負けはっきりしますよ。

金市場への影響としては、米中冷戦時代となると、有事の金がジワリと買われるシナリオが考えられますね。

米中決裂で偶発的軍事衝突ともなれば、金価格が7000円になっても不思議はないほどの「有事」です。

まずはG20@大阪でトランプ・習近平の親分同志で手打ちがあるか。もとより完全な妥結は無理筋です。お互い最大限譲って、共倒れだけは回避するシナリオでも市場は歓迎するでしょう。但しこれは金価格には下げ材料となります。

米中接近で売り、米中緊迫で買い。

現在は接近・緊迫が繰り返され、狭いレンジで膠着しているのです。

写真は私のファーウェイ・タブレット。

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2019年