豊島逸夫の手帖

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金価格1470ドル台まで急騰!

2019年8月6日

人民元が危機ラインとされる7の大台を突破。世界的株安の連鎖を誘発する結果となった。金市場には安全性を求めるマネーが急速に流入。1500ドルも視野に入る展開となってきた。筆者の年初日経での2019年価格予測が1425ドルで、利下げならば1500ドルも、であった。当時は最強気の見方で驚かれたものだが、今や控えめな見方かもしれない(笑)。

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トランプ氏の対中追加関税電撃発表に対する中国側の対抗措置が人民元安容認という展開だ。貿易戦争が通貨戦争に戦線拡大した。

対中追加関税は米中貿易協議で中国の譲歩を促すためのトランプ流のディール(取引)と見られる。しかし、そこには誤算があった。

現在中国では政権と長老の対話の場とされる北戴河会議が進行中なのだ。習近平氏も弱腰は見せられない。

更に長老たちが最も嫌うことは失業増が誘発する社会不安だ。

対中追加関税が実施されれば、工場閉鎖による失業急増は必至である。そこで人民元安を容認して輸出産業を支援すれば、追加関税の影響をある程度相殺できる。

トランプ氏は人民元安容認を為替操作と非難するが、危機ラインを突破した人民元相場は既に「帰らざる河」を渡ってしまった。

市場は引くに引けないトランプ氏と習近平氏の対決により米中経済冷戦長期化を覚悟している。

5日のNYダウ平均は一時961ドルまで急落する場面もあったが、これは人民元ショックの初期反応で、ほどなく市場は冷静を取り戻すであろう。上海発世界株安が危機的状況になることは、大統領選挙前のトランプ氏が回避すると思われる。

中国側も人民元安の悪影響を無視できない。資本逃避、民間企業のドル建て債務、輸入原油価格上昇などである。

更にSDRの構成通貨として人民元が認められている。ドル、ユーロ、円、ポンドと並ぶ国際通貨として、お行儀の悪いことは出来ない。

とは言え、市場は生き物と言われる。ひとたび始まった株安の連鎖により市場の不安心理は高まっている。VIXは一日で4割近く急騰。危険ラインとされる20を突破して24台をつけている。

マネーは株から債券に大移動中だ。

世界的な金利急落が加速している。欧州のマイナス金利は拡大の一途。米国債の逆イールド現象も顕著だ。

FRBの利下げ確率も軒並み高まっている。年末までの利下げ回数も3回から4回説まで台頭。9月に0.5%の大幅利下げを見込む観測も出始めた。

トランプ氏のFRB批判もエスカレートしている。中国の人民元操作非難の最後に「FRBよ、聞いているか」とツイートした。FRBに言われなき責任転嫁する如き物言いである。

なりふり構わぬパウエルFRB議長への口撃には、株安を中国よりFRBに責任転嫁する意図も透ける。

世界株安連鎖が一旦収束しても、貿易・通貨戦争の同時進行に市場は身構えざるを得ない。

今日の写真は東日本橋の老舗「鳥安」で合鴨鍋。相場が荒れて肉食系になっているのでガッツリいただいた(笑)。

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2019年