2019年2月28日
2回目の歴史的米朝トップ会談がハノイで進行中にもかかわらず、米国民、そしてNY市場参加者の注目はトランプ大統領元顧問弁護士マイケル・コーエン氏による「トランプ大統領浮気問題」に関する議会爆弾証言に集中している。
同時進行したパウエルFRB議長の議会証言が実はマーケットには重要な要因なのだが、コーエン旋風に吹き飛ばされた感がある。
近隣国の北朝鮮ミサイルリスクに揺れた昨年の市場で、日本国内では「モリカケ」問題に明け暮れたことが思い出される。どの国もやはり国内問題が最優先となるようだ。
トランプ氏の浮気相手とされる女優は、今や米国で最も注目される女性の一人であろう。「トークショー」などのイベントに招かれ全米を行脚している。米国の日曜長寿人気番組「60minutes」に生出演してぶちまけた時は、あまりに生々しい話に翌日の米国高級紙記事も夕刊タブロイド並みの様相を呈したものだ。
問題視されているのは、件の女性に払ったとされる「口止め料」13万ドルだ。このスキャンダルの登場人物はトランプ氏、コーエン氏、そして大統領選挙トランプ陣営CFO(最高財務責任者)ワイゼルバーグ氏。
27日の議会証言ではコーエン氏が完全に開き直った。既に3年の実刑を受けているからだ。涙をこらえ「家族とも会うことができなくなる。」と語り、トランプ氏への積年の不満を絞り出すように、同氏の言い分を議員たちにぶつけた。
口止め料に関してはトランプ氏が「13万ドルだ。大したカネではない。やれ。」と命じたという。「そのカネが追跡調査され、大統領選挙に悪影響を与える事態を回避するため、コーエン氏の私的マネーから拠出せよ。」と言われたという。コーエン氏は、同席していたワイゼルバーグ氏に支払いを依頼したが断られた。そこでワイゼルバーグ氏は「(トランプ)ゴルフクラブのメンバーになりたがっている人物はいないか。」と持ちかけたというが、結局コーエン氏が支払うことになった。
そこで問題はコーエン氏への弁済になる。
27日の証言では、トランプ氏、ワイゼルバーグ氏同席のもとに、コーエン氏が私的資金から支払ったが弁済されていないとの書式を作成したという。
更にトランプ氏は「弁済は大統領の知るところではない。」と語るように依頼してきたとも証言した。
「マイケル、心配には及ばぬ。FEDEX便で弁済の小切手をNYから送った。ホワイトハウスを通すので多少時間はかかる。」と言われたともいう。
その小切手も提出された。
そして大統領選挙での情報流出の件。
コーエン氏は民主党大会前トランプ氏執務室で、トランプ氏非公式顧問のロジャー・ストーン氏とトランプ氏のスピーカーフォンを通じての会話を暴露した。
「よし!数日以内にクリントン陣営に大ダメージの書類がどさっと大量に公開される。」と語ったという。
コーエン氏はまだ「隠し玉」を持っているかもしれない。モラー特別検察官が決定的な証拠を握る可能性も指摘される。
いよいよお尻に火がついたトランプ氏にとっては「ノーベル平和賞級」とも言われる米朝融和を国民向けにアピールしたいところだ。しかし米国人家庭のテレビ画面に映るのは、ハノイではなくもっぱらコーエン氏議会証言であった。
米中通商協議も果たして「勝利の凱旋」となるか、まだ不透明だ。27日にはライトハイザー通商代表も議会証言で慎重な見方を語った。トランプ氏との溝も深まる。報道陣の前で米中覚書の様式について意見の違いを公然と露わにしたばかりだ。
米中通商協議で覚書が交わされたとしても、問題はその実行検証法だ。スタッフレベルで毎月、副閣僚級で毎四半期、閣僚級(ライトハイザー通商代表と中国副首相)で年2回のレビューという案が予想されている。
注目の「為替条項」は、通貨安競争回避の誓約文と人民元相場介入に関する透明性を高めることが想定される。
しかし、その具体性は極めて曖昧だ。
結局NY市場はハノイと議会証言の画面を見比べつつ、売買判断は出来かねる状況である。
その中でNY金は1320ドルを割り込み調整モード。例によって大きく動いた後には膠着が続く。
インド・パキスタンの核保有国が戦争状態に突入したが、カシミール国境問題は歴史も古く、もっぱら選挙を控えたモディ首相の愛国心を訴求する戦術と見られる。
そして写真はおなじみマガーリ@自由が丘。
フキノトウとゴルゴンゾーラチーズのリゾットが絶品だったな。山菜独特の自然な苦みと、ゴルゴンゾーラのちょっと癖ある風味の相性が抜群。この意外なコラボはシェフのセンスだね。
そしてゴルゴンゾーラアイスクリーム。これも意外性があるマガーリの定番なんだけど、他ではお目にかかれない絶品なのだよ。