豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 中国経済は大丈夫か
Page2772

中国経済は大丈夫か

2019年4月18日

今、市場が楽観論に包まれ、株などのリスク資産が買われ、金が売られている背景に中国経済の復調が指摘されます。

昨年末にかけて音をたてて崩れるように中国経済が悪化していたのですが、中国政府の景気浮揚策により生き返ったと言われます。経済の墜落(ハードランディング)が回避され、軟着陸(ソフトランディング)となりそうです。

中国政府が景気を支えるために矢継ぎ早に繰り出した政策とは

1)インフラ工事への財政資金集中投入

2)消費者と企業を対象に減税

3)銀行へのマネー大量供給

などです。

本来なら中国が抱える巨額債務を減らせなければならないのですが、逆に債務を更に増やしても経済成長を6%台に維持する姿勢です。債務削減などの構造改革は又も先送りとなりました。

上海株はこの形振り構わぬ財政金融政策投入を素直に歓迎して上昇しました。

かくして中国が持ち直せば米国・欧州・日本の経済も安堵するわけです。

足元ではこれでやれやれというわけですが、更に膨れ上がった債務は消えません。いつか返済せねばなりません。その臨界点が先送りされただけです。そして借金は返済せねば雪だるま式に膨れ上がるだけです。

直近の経済を映すデータの中国PMIが好不況の境界とされる50を上回ってもその場凌ぎでしょう。

では臨界点に達した時、中国政府は山のような借金をどうやって返済するのでしょうか。

中国の歴史が繰り返すとすれば、人民元を刷りまくって借金の返済に充てることになります。通貨の価値が堕落してインフレが生じて得するのは借金をした人です。借金の実質価値が確実に目減りしますからね。

そのような状況になると、実物の価値がある「金」が買われることになるでしょう。

人民元は刷れるが現物の金は刷れません。

なお、写真の人民元紙幣の額面は60億元!当時の60億元紙幣の購買力を示すために、下の丸窓には一握りの米が置かれています。60億元で一握りの米しか買えなかった。1949年のことです。上海銀行博物館の展示物ですが、その裏には紀元前3世紀に使われたという金貨が展示されていました。

3042a.jpg

そして今日の写真は京都の大原野から直送の筍!大原ではないよ。長岡京があった方角にある丘陵地帯で京都筍の名産地。白くて上品な京都の筍は格別の味です。さっそく煮たり、焼いたり筍ご飯や筍スパゲティーにして食します。規格外の筍を送ってもらっています。形はどうでも、おいしさに変わりはないよ。

3042b.jpg

 

2019年