豊島逸夫の手帖

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パラジウム・バブル

2019年1月9日


なんとパラジウム価格の方が金に先んじて1300ドル乗せ。

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ビッド(買い唱え)が1311、オファー(売り唱え)が1336と業者間売買のスプレッドも半端なく拡大。薄い商いの荒い値動きにトレーダーも尻込みしている様子を映す現象だ。要はうっかり買っても売る相手が見つからない、あるいは足元を見られて吹っ掛けられるリスクがあるからだ。

欧州でのディーゼル車(プラチナを使う)離れ、ガソリン車(パラジウムを使う)が多い中国での排ガス規制強化によるパラジウム需要増見込みなどが要因。

それにしてもパラジウムと言えば、歯医者さんで入歯素材として金より安く健康保険対象になるので使われてきた経緯もあるほど。素材としては金が優る。それが価格は金より高い。これがマーケットだと言えばそれまでだが、マネーが循環物色で儲かりそうなものに群がる様が浮き彫りになる。

さてNY株価も打たれ強くなってきた。

8日にはサムソンが2018年10~12月期決算29%減益見込みと発表した。メモリーチップ需要低迷、スマホ競争激化を理由に挙げている。サムソンのスマホ市場のマーケットシェアは約20%。アップルの13%を凌ぐ。しかしサムソンショックは起こらなかった。株式市場は冷静に受け止めた。アップル株価も1.9%反騰している。潮目の変化を実感する。

欧州でもドイツ11月鉱工業生産指数が事前予測0.3%上昇のところ1.9%下落となった。3か月連続の減少だ。発表直後には、すわドイツショックもとの警戒感が漂ったが、やはり市場は冷静に受け止めた。

そして世銀が世界経済に「暗雲」と題する経済見通しを発表した。2019年世界経済は2.9%に減速との内容だ。もしこれが年末年始の株価大変動期に発表されていたら、格好の売り材料とされたであろう。

とにもかくにも逆風を受け止めつつ8日のダウ平均は256上昇で引けた。

リスクオフの市場心理は改善が顕著だ。

一時は30水準まで接近したVIX指数も20の水準まで低下。とは言え、20以上は依然「警戒水域」とされる。

結局、市場は2019年経済「減速」を織り込み、「景気後退」の可能性を模索しつつジワリと反騰局面に入っている。

米国大手投資銀行は相次いで、新年早々2019年米株価見通しを引き下げている。概ねSP500指数ベースで3000程度から2700程度に予測株価水準を下げてきた。それでも8日の2574からは上昇予測だ。

マーケットはV字回復までは期待していないが相対的に低くなった水準をニューノーマルと割り切り、まずは下値を固め徐々に底値切り上げを期待する状況と言えよう。

目下の最大注目要因は3日目に突入した米中実務レベル通商交渉だ。トランプ大統領は楽観的見通しを語る。市場は株価を意識しての発言かと勘繰る。とは言え、予定の2日間から更にもう一日予定を延ばしても交渉は続けるとの展開に米中本気度を感じる。さすがに米中共倒れリスクは回避したいとの本音が透ける。

株式市場も勘繰りつつ買い続けた。やはり潮目の変化を実感する。

外為市場でもリスクオフ円高が徐々に解消に向かい108円水準まで回復してきた。このまま109円台まで戻せば市場安定要因として評価されよう。

商品市場で原油価格(WTI)が1.2%反騰して50の大台回復も視野に入っている。これは市場心理改善には大きく貢献する展開だ。

朝一、一番乗りできれいに圧雪整備されたゲレンデを滑る。極上の体験だね~~。

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2019年