豊島逸夫の手帖

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対中追加関税発動したけれど。。。

2019年5月10日

なんか消化不良ですね~~。

予定通り10日日本時間午後1時1分をもって、米国の対中関税、22兆円相当に25%の追加関税が発動されました。今回は23%が一般消費財ゆえ庶民への影響も大きいと思われます。

ところがワシントン訪問中の劉鶴中国副首相とライトハイザー通商代表とムニューチン財務長官は明日土曜も協議継続とのこと。

しかも彼らを若頭たちとすれば、親分のトランプ大統領と習近平国家主席が電話会談するとのこと。

因みに今回の訪米にあたって、劉鶴副首相の肩書から「全権大使」の肩書が抜けています。これはいちいち習近平氏にお伺いをたてなければ進められないということ。

要は親分同志で手打ちの可能性も残るのです。

ですから市場は消化不良で決めかねています。

金曜日で週末にかけて敢えてポジションは持てない。ちゃぶ台返しの可能性もありますからね。一転、追加関税の話はなかったことにとか。そうなれば経済的には良いことなのですが。そうなって欲しいものです。

米中貿易戦争がエスカレートして日本にとって良いことはありませんから。円高・株高が進む。ボーナスは減る。消費は萎む。負の連鎖ですよ。更に年金を株で運用しているので、大事な年金の積み立てが目減りしてしまう。昨年は株の運用損だけで7兆円も目減りしました。米中の喧嘩だからといって他人事ではないのです。

そして今のトランプ大統領は来年の大統領選挙で勝つことしか頭にありませんから、仮に米中貿易戦争で成果があげられないと次の矛先を日本に向けてくるでしょう。自動車に25%もの関税を課せられたら日本のGDPが0.3%減ると言われます。

なお、次にトランプ大統領と習近平主席が会う機会は6月28、29日のG20@大阪。

それまでに若頭が話をつけ、大阪で両者握手となるでしょうか。

いずれにしても世界の目が大阪に向くと思いますよ。

ホスト役の安倍首相が間に入って、3人で握手の写真がメディアに配布され世界中に配信されたら選挙控えて役得ですね~~。

但し、そこで物別れに終わると米中貿易戦争がエスカレートして株価は急落。消費増税どころではなくなるかも。

日本経済にとっても正念場になります。

なお、今日「ミヤネ屋」で話したエピソードを二つ。

中国は豚肉の国ですが火鍋などで牛肉も消費します。これまでは米国産バラ冷凍牛肉を買っていました。しかし、それに報復関税25%が課せられ一転、オージー・ビーフ爆買いに走っているのです。

その結果、だぶつき余った米国産牛肉が安値で日本に廻ってきました。牛丼のコストが安くなっています。

そして段ボール。ネット通販やペットボトルを自販機に配送するため大量に消費されます。その原料は古紙。その「廃棄物原料」が日本で不足する事態が勃発しました。と言うのは中国が大量の米国産古紙を輸入していたのですが、それにも25%の報復関税が課され、代替として日本産古紙を爆買いしたのです。使ってみたら日本産は分別回収が徹底しているから不純物が少ない良質の古紙でした。但し、中国は環境規制を強めており、廃棄物輸入は数量割り当て制になり日本から大量購入出来なくなりました。更に米中貿易戦争の煽りで中国国内景気が悪くなり段ボール需要も減りました。その結果、直近では日本の段ボール価格上昇も鎮静化しています。

思わぬところで米中貿易戦争の副作用が出るものですね。

さて今日の写真はイチゴのデザートとティラミス。一味違うマガーリ@自由が丘のスイーツ。両方注文してペロリ(笑)。

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2019年