豊島逸夫の手帖

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NYで日本株講演

2019425

今日は日本株の話。

「ご足労だがNYまでおいでいただけまいか。日本株について詳しく吟味したいので手伝ってほしい。」

NYのヘッジファンドの仲間たちから丁寧な「招待状」が舞い込んだ。

筆者が長く在籍したスイス銀行出身者たちのグループである。

過去の事例では、筆者がNYで日本株レクチャーを依頼されると、平均6週間前後のタイムラグで「外国人投資家の日本株買い」が始まっている。そもそも彼らが日本株に興味がなければ、わざわざ筆者が呼ばれることもない。彼らの日本株への本気度が感じられる。日本株買いへのウォーミングアップとも言えよう。

そもそも、なぜ筆者に白羽の矢が立つのか。

日本株業界に利害関係がない中立的立場で、しかも同じ銀行出身の仲間ゆえ本音で語るからだ。

日本の大手証券会社が日本株キャラバンで配布した資料を予め送付され、読後の率直な感想を求められる。要はウラを取りにきているのだ。

早速電話で諸々打ち合わせたのだが、最初の印象としては日本株が消極的選択肢として浮上してきた感じだ。

米国株は最高値更新で高値警戒感が強まり、国際リスク分散として欧州株と新興国株が候補に挙がる。しかし欧州経済はブレグジットやドイツ経済懸念で買いにくい。既に保有している欧州株は売り手仕舞いたいとのコメントが印象的だ。

一方、主要中銀が緩和方向に動く中でドルが売られ、新興国通貨が反騰して新興国株が買われた。しかし唐突なトルコ異変などで新興国株のリスクが改めて問題視されてきた。

但し、上海株は政策期待で見直されている。

そして日本株が「最後のフロンティア」として残った。

相変わらず「エキゾチック=異国的」とのレッテルを貼られ、日本株に関する知見はお粗末の一言に尽きる。

とは言え「日本株のほうがマシ」との判断で、少なくとも中立的な情報を収集したいとの動きは顕在化しているのだ。

日本株が現在の膠着状態から脱するためには、まず下がって上昇エネルギーを蓄えることも必要だと思う。例えて言えば、走り幅跳びでは、助走から踏切りで瞬間的に体勢を低くしてからジャンプせねば高く長く飛べない。日経平均も2万円割れがあれば、かえって反騰が期待できると思う。

今のまま徐々に上がっていっても踏切が弱く、あまり高くを望めない。

百戦錬磨のヘッジファンドも、動物的臭覚で日経平均急落のタイミングを狙っているのかもしれない。

2019年