2019年2月22日
21日には欧米製造業不振をダメ押しの如く市場に印象付ける経済指標発表が相次いだ。
まず、1月ドイツ製造業PMIが2か月連続で50を下回り、46.6と74か月ぶりの低水準を記録した。
タイミングも悪い。
先週ミュンヘンでの安全保障会議において、ペンス米副大統領が講演で、欧米同盟関係に一線を画す姿勢を改めて強調したばかりだ。米国への欧州車輸出は米国安全保障上の脅威と位置付ける。その反動でドイツ国内世論も、ピュー・リサーチ・センターによれば「プーチン氏信頼派」が35%まで増えている。そこでドイツに寄り添う姿勢を見せるのが中国だ。しかしハイテク分野において「製造2025」の中国は、今やドイツの顧客ではなくライバルだ。
このような背景でのドイツ製造業PMI急落は市場に重く響く。
そして米国ではフィラデルフィア連銀製造業景気指数が、事前予測プラス14を大きく下回りマイナス4.1まで急落した。2016年5月以来のマイナス圏突入である。
「ミゼラブル(悲しくなるほど酷い)」とのコメントが市場からは聞こえてくる。
かねてから懸念されていた住宅市場関連でも1月中古住宅販売戸数が、2015年11月以来の低水準とされる494万戸に急減した。事前予想は500万戸程度。前月比では1.2%減である。市場では「失速」との表現が飛び交う。
それでもダウ平均は一時190ドルほど急落したが、その後下げ幅を縮小して103ドル安で引けた。
指標が悪化すればFRB緩和期待も更に膨らむ。
前日の1月FOMC議事録では、株価の下押し要因となっていた「FRB資産圧縮」が前倒しで終了がかなり煮詰まっていることが確認されたばかりだ。しかもQT(量的引き締め)終了後にはQE(量的緩和)復活の可能性さえ浮上している。
「資産圧縮が終了後、平均的資産規模を安定的に維持するために資産購入を再開すべき」との記述が注目されているのだ。民間の銀行がFRBの預ける「超過準備預金」は、安全網(セイフティーネット)として従前より多く保有させるべしとの見解だ。その場合、FRBが保有するMBS(住宅担保証券)は償還され減少するので、国債を購入することになろう。その額は月額200億ドルなどの「先走り予想」さえ市場内には出回る。前回の量的緩和よりは遥かに少ないが、市場への影響は無視できない量である。
米国政策金利も次の一手は「利上げ」か「利下げ」かが議論される。
世界的な視点でも中央銀行の「緩和競争」あるいは「シンクロ同時緩和」バイアスが語られる。
使い古された「過剰流動性相場」という表現が、懐かしのメロディーの如く市場には流れ始めた。
金は20ドル近く急落。1320ドル台。金価格が独立して勝手に動いている感じ。例によって急騰、急落を繰り返しながら、徐々に底値を切り上げてゆく。1350ドルには届かなかったので下値を試す。
今日の写真は、寒い夜に沸々の「マル」=すっぽん鍋。そして白味噌仕立てのお雑煮。海老芋入りが嬉しい。やっと正月気分(笑)@京都祇園らく山。今年初めて行ってきた。