豊島逸夫の手帖

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2019年最大のサプライズは

2019年12月26日


今年を振り返る時期になった。


2019年、マーケット関連で最大のサプライズはFRBが利上げから利下げに急速に舵を切ったことであろう。年初市場は今年の利上げ回数の話題で持ち切りであった。しかし2018年12月に年4回目の利上げを強行したことで市場は大変動。そこでパウエル議長は短期間に異例の金融政策転換(引き締めから緩和へ)を実行したのだ。


2019年1月9日に日経に掲載された筆者の2019年金価格見通しインタビュー記事でも、まず見出しが「米利上げ停止で1400ドル超も」。続いて本文で「仮に利下げまで踏み切った場合、1500ドルまで上がっても不思議はない」。利上げありきが前提で利下げもあり得るとの言い回しに当時の市場環境が滲む。結果は年3回利下げで金価格が1500ドルを超えた。当時は1350ドルの壁が意識され、1500ドル予測は少なく、「随分と強気ですね」と言われたものだ。


「日米の株価の戻りは金相場にどのような影響を与えますか」との問いには「米中貿易戦争など不透明感強く、投資リスクを軽減するための金買いは増えるだろう。2019年は株高局面でも金は下がりにくいと考えている」。これは我ながら(笑)、正しい見通しであったが、市況の法則に逆らう見解ゆえ「そんなはずはない」との意見も多かった。特にエクセルの数字だけを見て市場の実態を知らない若手は市場に翻弄される傾向がある。やはりNY市場最前線の空気が読めないとミカタを誤るのだ。


相場は生き物。非合理的な動きをする。筆者とて戸惑うことが多い。結局知識の量が多ければ相場が読めるということではない。もしそうであれば大学教授が投資の達人となるはずだ。

筆者も米国のビジネススクール「ウォートン」で「近代ポートフォリオ理論」を学んだが、結局実践では全く役立たなかった。
更にチューリッヒのトレーダーたちの半分は高卒であった。学歴など無関係の世界なのだ。
これが相場の醍醐味とも言えよう。


話しは変わるが中国系IR企業にからむ議員逮捕が話題になっている。お粗末な話だ。
当該中国企業は19四半期連続赤字で株価はピークの2割に沈んでいる。そこに日本の政治家がノコノコと入ってゆけば、それこそ恰好のカモである。世間(世界)知らずの問屋の若旦那が賭場でむしられるようなもの。

そもそも中国系IR企業のコンプライアンスは中国共産党の規則順守なのだ。党への貢献度、党幹部との人的ネットワークが最重要な世界である。
選挙区ばかりを意識して、国際感覚が欠如している政治家が国際的IR誘致の担当というのもお粗末な話ではある。


今日の写真はすっぽん土鍋。寒い季節にピッタリ。コラーゲン豊富で女性にも人気。


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2019年