豊島逸夫の手帖

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10連休中にリーマン級が起こったら

2019年4月22日


東京市場が10日間閉鎖される。
欧米の常識では考えられないことだ。クリスマス休暇で2週間休む人は多いが、その間市場がクローズされるのは土日以外に2日間程度だ。
3連休でもNY市場はオープンあるいは半ドンというケースも少なくない。
然るに日本では毎年、年末12月28日から1月3日までの1週間市場はクローズされる。


そして今年は10連休。
筆者も個人的には休みが増えて大歓迎だが、マーケット目線で考えると怖さを感じる。
10連休中に、例えば米中通商交渉が決裂して上海株が暴落。世界同時株安の連鎖となった場合、日本の投資家は指をくわえて座視するだけだ。AIアルゴリズム主導の市場では下落ペースも規模も加速・増大しよう。


目先の利く投資家は、日経平均を2万円で売れる権利(プットオプション)購入で自衛に走る。今日の日経平均は2万2千円台なのに2万円で売れる権利を買う。これは10連休中に日経平均が2万円の大台を割る有事に備えた行動だ。
しかし、多くの投資家がプットオプション購入に動けばプットオプションのコスト(オプションプレミアム)は急騰するだろう。プットオプションの市場規模も限定的ゆえ全ての注文を捌ききれる保証はない。


10連休中は市場機能を完全に停止せず、万が一の救済措置の可能性は残すべきであろう。いかに働き方改革と言っても、市場が破壊されるような局面になれば、関係者は出動せねばなるまい。そのためのインフラは残すべきだ。そこで休み損ねた人は代休という手もあろう。組織内でシフトを組む夏休みスケジュールと同じ発想だ。

そもそも働き方改革と言っても、現場の人たちの多くは家庭に持ち帰ってやり繰りしているのが実態だ。

一方、10連休は短期投資から長期投資にシフトする良い機会にもなる。肝を据え10連休に何が起ころうと、地道に積み立てを続けることで長期投資を嫌でも実践せざるを得ない。長期投資の視点なら10連休恐るまじ。底値も拾えるチャンスとなるやもしれぬ。


更に「金」保有なら10連休でバタつくこともない。
世界同時株安になれば欧米市場で金は買われよう。


仮に何らかの要因で金価格が暴落しても、積立なら手も出せず怖い思いはするが、結果的には慌てて余計な売買をせずに済む。リーマンショック直後も金は暴落したが、その後他の資産に先駆け急反騰した。大きな経済ショックが起こると金を売って株の損失の埋め合わせに充てるのだが、一難過ぎれば金は買い戻されるものだ。


10連休で知る金の資産価値としての有難みとでも言えようか。

2019年