豊島逸夫の手帖

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老後2千万円不足騒動

2019年6月12日

ここ数日この話題について意見を聞かれています。

結論から言うと、各自身の丈に応じて数千万円かもしれないし、数百万円かもしれないし、とにかく老後のおカネ問題について考えるキッカケになると思います。

今や政治問題化して参院選の争点とまで言われ始めましたが、本欄では政治は論じません。

純粋に経済の視点に立てば、私が強調したいことは二つ。

まず、老後資金が足りないから投資で儲けて、なんとかしようという発想が違う。日本の将来を考え有望な分野・企業に出資するという発想が必要です。そんなこと言っても私には分からないという答えが必ず跳ね返ってきますが、それは単に勉強不足!甘い!少しずつでもおカネの勉強を続けるべきです。他ならぬ自分のためですよ。

次に、月20万円の名目年金で20年後、どれだけの生活水準を維持できるかという購買力の問題も欠かせません。

特に若い世代はインフレの怖さを知らない。今は低インフレ時代ですが、経済はダイナミックに変動するものです。10年後高インフレ時代になっても全く不思議はない。その時20万円の実質価値はがっくり目減りします。特に量的緩和でばら撒かれたマネーの後始末はどうするのか。日銀が購入した株25兆円をどう処理するのか。

この名目の価値と実質の価値の差を全く無視して、老後の「2千万円」という金額だけが独り歩きしているのです。

だから金、などとあざといことは言いません。

ただ少しでもおカネの勉強をするキッカケになればと思うのです。

日本ではおカネのことは「卑しい」ことだという風潮があります。

投資=投機=金儲け=カネの亡者などなどマイナスのイメージがこびりついています。

でも、それを自分の不勉強の口実にして結局「損する」のは自分自身ですよ。

そもそも勉強不足でも人間は本能的に欲張りだから悪徳商法がはびこるのです。

年金に話しを戻しましょう。

年金は破綻するかどうか危ういところですが、少子高齢化、公的年金の運用の半分は株式。ですから将来の年金が不安なことは事実です。

私は株なんかやっていないからという初心者でも、あなたの年金の半分は株で運用されているよと言うと、え!マジ!と驚愕の表情です。もはや他人事では済まされないのですよ。

以上、今日は主として初心者向けに書きました。

まだ言いたいことは山ほどありますが、もう次の取材(やはり年金関連)が待ち構えているので今日はこれまで。

さて、今日の旨いもの写真はマガーリ@自由が丘。

まず、新鮮なズッキーニにパルメジャーノチーズをあえたシンプルだけと夏にぴったりの一品。

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次に、これが絶品。マスカルポーネチーズとウニのコラボ。相性が抜群で、つい「お代わり!」(笑)。

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そして北海道直送のデカいアスパラ。これはシェフたかさんの熱の通し方がレアで、さすがプロと唸ったね。

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2019年