豊島逸夫の手帖

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老後2千万円不足、誰が騒いでいるのか

2019年6月13日

この問題が勃発してからセミナー講演で参加者の個人投資家の意見を聞いた。更にセミナーなど無縁な市井の人たちとも本音で語り合う機会があった。

殆どの人たちはさほど驚いていなかった。年金だけではまともな生活は望めないことくらい、とうに承知である。「年金100年安心」など誰もはなから信じていない。ただ直ぐに行動しなくては大変なことになるという切迫感は薄かった。いずれじっくり考えてみようというスタンスで、日常生活の喧騒の中で置き去りにされていた問題と言えるだろう。

それゆえ今回お粗末な政治の駆け引き材料になり、メディアが報道したことで、いよいよ勉強しなくてはとの切迫感が醸成されつつある。

とは言え、信頼できる相談相手がいない、本を読んでも理解できないという。

そこで例えばFPという存在を紹介すると「初耳」、「誰それ」という反応が多い。資格を持ち個別に相談にのってくれるアドバイザーだと言うと納得するのだが、タダではないと言うと、とたんに腰が引ける。おカネの相談などはタダのサービスが当たり前と考えている。無料相談の方が特定の商品セールスの紐付きが多いと言っても、とにかく無形の情報への対価を払うと「損した気持ちになる」。困ったものだ。

 

2019年