豊島逸夫の手帖

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金20ドル超急騰、トランプ氏発言で

2019年12月4日

トランプ大統領が「米中交渉の期限はない。」、「2020年大統領選挙後まで待つことも。」と発言したことで12月相場二日目も株価が続落。NY金は3日に安値1459ドル、高値1482ドルのレンジで急騰した。1470ドル台後半で推移している。

市場の関心は12月15日に発動が予定されている対中追加関税第四弾が強行されるか否か。トランプ氏にとって関税カードは大統領選挙に使える「武器」なので、ちらつかせつつ出来る限り温存したいところであろう。中国側が米国農産物輸入と知的財産権保護に関する実効性ある措置をコミットすれば、その「見返り」として追加関税撤回を考慮するとの姿勢だ。

一方、中国側は追加関税が撤回されれば米国農産物輸入も知的財産権保護策も一定のコミットを与えるとのスタンスなので、なかなか両者が折り合わない。

第四弾追加関税はスマホ、パソコン、玩具など消費財を中心に計1600億ドル分に15%の関税を上乗せするので、米国人消費者にも「痛み」が及ぶ。それゆえ市場への影響も必至だ。

マーケット内の感触としては、先週までは8割方「延期または撤回」の期待を込めた楽観論が支配的であった。最終的には米中「共倒れ」は回避するとの読みだ。

しかし今週に入り俄かに雲行きが怪しくなってきた。今や市場内の感触としては五分五分というところであろう。

その背景としてNY株価が既に最高値を更新中という状況が挙げられる。トランプ大統領は当然、株価上昇を自画自賛すると思われた。しかしトランプ氏は敢えて株価最高値を誇らしげに語ることはなかった。逆に3日に株価が下落している時点で「この程度の下げはピーナッツ=大したことない。」と語り、株価反落を容認したのだ。

そこには株価形成の主導権を握ったトランプ氏の株価操縦術が滲む。先週のようなペースで株価が続騰すれば、大統領選挙で重要な予備選が重なるスーパーチューデー(3月3日)頃には自律反落のリスクがある。そこで現時点では敢えて相場を冷やすことも厭わず、3月3日まで高値圏を維持したいとの思惑が透けるのだ。

そうなると12月15日の追加関税も15%程度の関税率なら発動されても株価には悪影響を及ぼすが最高値圏には留まるとも読める。

3日のNYダウ平均株価もトランプ発言を受け、一時は前日比470ドル安まで沈んだが結局280ドル安まで戻して引けた。下がっても安値は買われ最高値圏は維持している。

この関税率が仮に30%程度に引き上げられれば株の上げ相場も壊れるであろう。金は1500ドル視野の上昇シナリオとなる。

最終的な決断は気まぐれなトランプ氏の胸一つである。

今やホワイトハウスに「殿ご乱心」と留められる重要人物はいない。

3日にはロス商務長官がテレビ生出演していたが、ひたすら「大統領の意向」を繰り返すのみであった。

日本へのリスクも気になるところだ。

米中協議は長期化の様相が濃く、更に対EUとも一戦を交えた後に日本が標的になる可能性はある。日米通商協議「第二段階」は先送りされているのだ。いかに「シンゾーはグッドフレンド」と言っても、こと大統領選挙に関わることになれば「話は別で譲れない」との威嚇発言が飛び出しても不思議はない。それがトランプ流である。

特に弾劾問題ではトランプ氏も相当に苛立っているので、支持率が下がるような局面があると、気性の激しい大統領ゆえ何を言い出すか分からないリスクがある。

最近は日本時間の早朝から午前にかけての時間帯で新たなトランプ発言が材料視される事例が出てきた。日本市場も常に身構えざるを得まい。

写真は久しぶりに行った六本木ミッドタウン・虎屋での季節の生菓子。

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柚形で白餡入り。相変わらず芸術的な出来で食べるのが勿体ないくらい(笑)。12月相場大荒れ模様で甘さが疲れたカラダに沁みるねぇ。。血糖値上げないと頭の回転もイマイチとなるのだ、私は。ふと虎屋の店内を見まわしたら、スイーツ男子というか甘物系おじさんたちが目立った。かと思えば、吉野家で若い女性が牛丼をかき込んでいたりして、これが時代の流れか。そう言えば、純金積立に若い男女急増という記事を見かけた。やはり老後2000万円問題が勃発してから顕著な現象。私もセミナー会場で実感していることだ。20代の女性が「老後に備える」と語る。「桜の会」で重要審議がストップする国ゆえ一般個人の危機感も強まる様子が伺える。沈みゆくタイタニック号の中で「責任者は説明責任を果たせ。」と叫ぶ乗客の群れの如しと海外では皮肉られているのだよ。

 

2019年