豊島逸夫の手帖

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全て日銀頼みの日本市場

2023年1月16日

東京市場の株価は大きく下げると日銀が株ETF買い出動で下値を支えてきた。NYのヘッジファンドの試算では日銀買いなかりせば日経平均は少なくとも4000円は下がっているという。

外為市場でも昨年円安進行の過程で日銀の円買い介入が円相場を支えた。日銀介入なかりせば160円近くまで円安が進行した可能性がある。

そして日本国債の市場では日銀が市場で国債を買い、円金利の上昇を一定の水準に抑制している。世界の趨勢はインフレ対策で利上げ。日銀だけが周回遅れであった。市場金利には上昇圧力がかかっているが米国と異なり経済が脆弱である日本で本当に利上げして良いものか。日銀も市場も当惑している。投機的に日本国債を売る外国人投機家集団と片っ端から日本国債を買い受ける日銀の壮絶なせめぎ合いだ

円も急騰。円安150円の時の如く円高120円になったら日銀が今度は円売り介入するのか。

かくして株、外為、債券の各市場で日銀頼み。これが実態なのだ。中国市場を笑えない。
このような日本の市場を現場で見てきた日銀マンが定年でOBになるや、虎の子の退職金で金を買いたがるという事例はこれまでも本欄で書いてきたが、ここにきて加速している。
彼らは現場で日本経済のヤバさを体感してきた。それゆえ自分の資産を円で持ちたがらない。日銀マンと言えば円という通貨の番人だ。しかし定年になれば一個人投資家になる。

2023年世界的に金が注目して買われているのも株、外為、債券に不安を感じる投資家が独自の希少価値を持つ金にポートフォリオの一部をシフトさせているからだ。

さて、週末我が家では時ならぬ「越前カニ」ブーム。福井県から直送の大きな越前カニ。昭栄丸というタグの付いた新鮮なカニを堪能した。最後のカニ雑炊にカニ味噌をたっぷり載せた一品で締めた。

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2023年