豊島逸夫の手帖

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最重要イベント視野に国際金価格は急反発

2023年9月19日

日本の連休中、国際金価格(スポット)は1915ドルから1933ドルまで急反発した。以下のKITCOグラフを見ながら時系列で説明しておく。

3783③(KITCO).jpg

まず、日本の連休前の先週金曜日(青線)に金価格が最大15ドル急騰したのは、ミシガン大学消費者信頼感指数が前月の69.5から67.7へ低下したこと。米GDPの7割を占める個人消費が弱いことには米FRBも追加利上げはし難い。金利を生まない金には追い風となる。

次に、KITCOグラフ赤線。週末に気配値ベースだが5ドルほど上昇した。これは週末のFT紙が「中国当局は中国大手銀行の金輸入に一時的規制をかけてきたが、それを緩和する」という観測記事を流した。上海金価格は最近世界標準価格に比し割高であったが、その割高分がかなり解消された。背景には人民元防衛がある。中国人がドル建て金を買うことはドルで支払うために人民元を売ることになる。そこで中国人の金購入を抑制する措置をとった。このような「窓口規制」は中国では日常茶飯事だ。コロコロ変わる。なお中国国内での金需要が急増しているという見解に関しては、FT紙は懐疑的に書いている。中国経済不振の最中に金購買力も落ちるからだ。いずれにせよ、この記事で5ドルほどは気配値が週末に上がっていたということだ。

そして、昨日には(緑線)NY時間午後の引けにかけて10ドル超上げた。これは米10債利回りが引けにかけ3.34%から3.30%にまで急反落したことによる。特に影響を与えたイベントはない。いよいよFOMC開幕ということから、米債券市場で身辺整理的な米国債売買が出て、金価格が金利変動に反応したわけだ。

結局、NY金はドル金利に左右される度合いが強い。筆者が彼らと話していても金利の話しかしない。一方ロンドン金市場の連中と雑談していると中国インドの金実需の話も出る。しかし国際金価格に与える影響は今回の事例でも5ドル程度に過ぎない。

但し、中長期的な金価格動向には中国金購入(民間と人民銀行)はボディーブローのようにジワリと効くので、重要であることは言うまでもない。筆者も中長期的見通しを書く時はドル金利に加えて中国についても詳説している。

さて、今週の9月FOMCが今月のメインイベントだが、利上げ見送り確率は99%に達した。もはやサプライズはない。注目は5%を超える米政策金利が「いつまで続くのか」、「いつ利上げから利下げに転じるのか」。
ヒントはFOMC終了直後に発表されるドットチャート(FOMC参加者の金利予測の分布)にあるので、ここが今週の肝だ。

結論から言えば、利上げ停止宣言をしてからインフレがぶり返すことがFRBの悪夢でトラウマなので、来年前半まで現行の5.25~5.50%はホールド(維持)するだろう。その間金の上昇余地は限定的だ。しかし来年中には必ず利上げから利下げに米金融政策は転換するので、それを先取りして国際金価格も上がるであろう。早ければ年内にも先取りの上げは始まるかもしれない。ここは今後の雇用統計とかCPIなどの重要経済指標次第だ。この時期を当てられたら大儲けできるが、ひとつ確かなことは世界中の誰にも分からない。実はパウエルFRB議長も読み切れていない。これが生きた相場の実態だよ。

さて、今日の写真。
我が家の庭に秋到来を示すはずの彼岸花が急に見られるようになった。しかし気温は真夏並み。ゴルフ場ではセミとトンボの競演も見られる。トンボも彼岸花もビックリしただろうね。あれ、フライングしたか?と(笑)。それにしてもこの高温、特に高湿は堪えるね~。

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2023年