豊島逸夫の手帖

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プラチナ、じわり値ごろゾーン入り

2023年6月30日

本欄4月25日付けでプラチナ急騰、危険ゾーン入りと書いた。
当時はプラチナが1150ドル近くまで上がっていた。
それが今や900ドルまで急落。筆者はそろそろ買いの値ごろ感を感じている。

そもそもプラチナ販売促進機関のプラチナカウンシルあたりが供給不足とか騒ぎだすと眉唾だ。
実態は中国経済の悪化が需要サイドの足かせになっている。
今日発表された中国6月製造業景況感も3か月連続で好不況の節目である50を下回っている。経済の波及効果が大きい不動産市場の低迷、更にゼロコロナ政策終了後の経済回復をけん引してきたサービス業の持ち直しに一服感が出ている。

基本的にプラチナ市場は規模も小さく投機要因が強く働く。
売りの要因が出れば下へ過剰反応するし、買いの要因が出れば上へ過剰反応する。筆者もそもそもはスイス銀行時代にディーラーとしてプラチナ市場を得意としていた。スイス銀行を辞める時に記念品として銀行からプラチナ1オンスコインを貰ったほどだ。ディーラー冥利に尽きる贈り物であった。これだけは絶対売らないね(笑)。
そもそも本欄で繰り返し書いてきたように筆者は根っからのプラチナ好きなので、900ドルを割れると下への過剰反応と受け止め買いたくなるのだ。

更に、円が145円まで来たが今年の円安は昨年のような「それゆけ、どんどん」のモメンタムに相対的だが力強さに欠ける。植田総裁の「政策修正」の一言により一晩で円高に転じるリスクを孕むところが昨年と大きく異なるからだ。国際通貨投機筋も円安を深追いはしない姿勢だ。

さて、話はガラリと変わり猿之助。ファンだった。まだファンだ。こんなことで稀有の才能が失われることを残念に思う。

2023年