豊島逸夫の手帖

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公的金購入が減る可能性も

2023年7月20日

近年外貨準備として金が買われてきた。その年間総量が1000トンを超え国際金価格の下支え要因として無視できない要因となっている。今年も公的分野の金購入は続くと見られてきた。

しかし、今年は昨年より公的金購入が減る可能性も浮上している。
中央銀行セクターの中でベテランの中央銀行マンは、経済有事に備えて一定量の金を保有すべきと考える。しかし若手の中央銀行マンの間では、金に対する愛着が希薄で外貨準備として米国債をより重要視する傾向も見られる。ウォール街にトレーニーとして派遣されるケースもあり、中央銀行と言えども外貨準備をポートフォリオ運用すべしと考えているのだ。そうなると金は金利を生まないが、米国債なら年率3%以上のリターンが得られる。そもそも米ドルは国際基軸通貨としての信認が低下しているが、米ドルに代わる国際基軸通貨は考えられない。だからベテランは無国籍通貨としての金が重要と考えるのだが、若手はドライに世界の決済システムは米ドルなしで存続できない事実を重視する。

しかも、ロシアは同国中央銀行の金売買まで経済制裁の対象となり、折角2000トンもの金準備を蓄えたのに、いざウクライナ有事に際し国際金市場で売ることもできず宝の持ち腐れになった。まぁロシア国民がルーブル不安で金を買いたがっているので、民間に放出することで役に立っているとは言える。

しかし、このようなロシアの事例は他国の中央銀行から見れば外貨準備として金を持つリスクと映る。自国の金準備を保管しているNY連銀、フォートノックス。イングランド銀行などから自国へレパトリエーションする傾向が見られるとフィナンシャルタイムズが民間企業の調査結果を元に書いた。確かに尤もな話だ。但しそれなら外貨準備としての金の保有を減らすという発想もある。筆者が実際にニューヨーク金市場の連中と話した時に出た発言で「なるほどそれも一理ある」と思った。そもそも金への文化的選好度が低いアングロサクソン系らしい発想だ。

さて、札幌サテライトオフィスで働いていると今年の夏はとんでもない数の外国人観光客と日本人観光客が来ていることを実感する。JRに乗っていても超大型キャリーケースの山で、車内で身動きも取れないような状況さえ見られる。これから子供たちも夏休みに入り、家族連れが増えると一体どういうことになるのか。既に札幌市長がコロナ感染した。
とは言え、やっぱり夏の北海道は東京に比べると気候が快適で仕事もはかどるね~~。
今日の写真は札幌のレモンパイ。これがフワフワで食感が絶妙。既にホールを3個たいらげた。1個1300円(笑)。

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2023年