豊島逸夫の手帖

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FOMC、NY金急騰、2000ドル視野に

2023年2月2日

まず今回のFOMC総括。

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今回のFOMC後の記者会見で市場が最も聞きたかったことは年内利下げについてのFRB議長からの所見であった。FRB側の見解としては12月FOMC議事要旨に「2023年中の利下げ転換を予想する参加者は一人もいなかった」と強い表現で明記されていた。
しかし今回の記者会見ではそれほど強く否定されてはいない。
市場とFRBの認識ギャップをストレートに突いた質問にこう答えている。
我々(FRB)は経済成長が減速、労働市場にはいくらかの緩み、インフレは徐々にしっかりと減速と見ている。このケースで利下げは適切ではない。とは言え色々な意見がありインフレ率が急速に下がるケースとなれば、これに対応する政策を検討することになろう(incorporated into our thinking about policy)。

以上引用

これまでも引き締め過ぎるリスクは覚悟の上で、そうなれば金融政策で対応できるとパウエル氏は語ってきた。利上げ不況になれば利下げという政策対応も止む無しとなろう。

そもそもインフレの展開が予想しにくいことも質問に応じる形で語っている。財のインフレは2021年末までに終息と見ていた。しかし22年になっても続き、やっと下がり始めると今度はペースが速い。コロナによる新型インフレとは言え実に予測し難いと述べていた。

総じて今回の記者会見を聞くとインフレ率が「意味ある下落」と判断されるのは早くとも5月のFOMCになりそうだ。3月から5月にかけて政策点検が必要となることも示唆している。金融政策のタイムラグは12か月から18か月とも言われているからだ。市場では3月で利上げ打ち止め論が主流だが、政策変更は年央にずれ込むと見て、年前半の数か月で短期の一勝負をかけ、5月のFOMCを見て年後半に新たなポジションを立てるファンドも少なくない。
FRBには逆らえぬと言ってみたり、FRBは疑えと言ってみたり市場の思惑もばらついている。

NY金に関してはいよいよ利上げ最終局面入りということで金利を生まない金には良いニュースとなっている。2022年には利上げの呪縛によりNY金は下落傾向であった。しかし利上げの出口が見えたことでドル金利の下げが加速している。ドル安も加速していよいよ2000ドルを窺う局面だ。

2023年