2023年3月29日
28日に米議会上院銀行委員会で、FRBバー理事(規制担当)は生々しいSVB破綻劇の実態を明かした。
同氏は2021年11月の時点で、高金利が銀行に与えるリスクについて警報を発していた。しかしSVBは対応を怠った。
SVBは3月8日に増資を発表して、預金者の懸念を鎮め、その時点では事態収拾が見込まれた。
しかし、3月9日には保護されない預金が危ないとの情報が拡散され、既に報道されているとおり420億ドルの預金が引き出された。
同日FRBはスタッフ総動員で、SVBがFRBのディスカウントウインドウから大量の緊急融資を受けるための担保を探した。その結果FRB当局も資金不足が解消されると判断した。
ところが、翌3月10日朝バー理事はSVBから預金引き出しが遥かに多くなりそうだとの報告を受けた。その額たるや1000億ドルであった。
かくしてSVBは閉鎖に至った。
結局9、10日の2日間で、流出額は1420億ドルに達したが、これはSVB預金総額1750億ドルの81%に相当する。
オンラインバンキングとSNSによる情報拡散が、現代版の取り付け騒動が想定を遥かに超える規模とスピードで生じることを市場は改めて思い知らされ衝撃を受けている。
本件ではFRBの金融機関へのストレステストが甘かったとの批判も続出している。
リーマンショックの反省からドッドフランク法(金融改革法)が生まれ、資本規模が2500億ドル以上の大手銀行は1年に一度、1000億ドルから2500億ドルの資本規模であれば2年に一回、偶数年にストレステストが義務づけられた。然るにSVBは2021年末時点で1000億ドルに満たず、2022年ストレステストの対象にはならなかった。
更にストレステストそのものにも重大な欠陥があった。FRBが重視する負荷項目は「GDP下落」、「商業用不動産への融資返済不履行」、「失業率の上昇」だったのだ。何れもマクロ的に悪化せず問題はない項目ばかりでストレス(負荷)にはならない。対して実際に悪化した「インフレ率」と「高金利」は含まれていなかった。特にCPIが2025年まで2%以下という負荷条件が想定されている。ここが決定的欠陥とされ「甘い」と批判されているのだ。
SVB破綻についての調査はまだ始まったばかりだ。
今後新たな問題点が噴出する可能性もある。
かくして不安定な市場環境の中で、NY金は1945~1975ドルのレンジ。2000ドル以下とは言え歴史的高値圏に留まっている。歴史的高値圏は続くが、この高水準で買って売って一儲けは危険。
じっくりコツコツ積み立てることを勧めるという記事も↓。
https://news.yahoo.co.jp/articles/558d7da73ae9be252ea2c226112767a7478cad00
そして今は人事異動の季節。歓送迎会で旨いものにありついている(笑)。昨晩は築地のふぐの老舗。 気の置けない仲間たちとワイワイやりながらふぐ鍋を突っつくのはいいね~。