豊島逸夫の手帖

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国際現物金価格、2000ドル値固めへ

2023年10月31日

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昨日の国際金価格は上昇一服。利益確定売りと新規買いが交錯する状況。

まず、「日銀、金利操作を再修正へ 長期金利1%超え柔軟に」の日経電子版報道がNY市場の現地時間昼前に伝わった。ドル円相場は瞬間的に149.76前後から149.05前後まで急落。その後更に148.80前後までジリジリ下げたが、結局149円台を回復した。「再修正」と言っても小幅にならざるを得ず、影響は限定的との解釈である。

NY市場が日銀政策修正に関して最も注目することは、日本国内の金利水準が上昇することによる日本機関投資家の米国債レパトリだ。日本の米国債保有額は1兆1162億ドル(2023年8月)で、2位の中国8054億ドルを大きく上回る。米10年債利回りが5%に達した局面でも日本勢の売りが材料視され、米国債券投機家の10年債売却の動きに拍車をかけた。

次に、NY市場引けにかけ米財務省が10-12月期の資金調達額が7760億ドルになるとの試算を発表した。事前予測を下回るもの2023年度の財政赤字が約1.7兆ドルに達する事態への懸念が金市場で改めて高まった。更に11月1日にはその入札規模、時期、期間の詳細が発表される。同日開催のFOMCが今回はほぼ無風が予測されるのに比し、財政問題の方が市場の材料としても鮮度も注目度も高い。

そもそも今回のインフレ火付け役のひとつがコロナ対策の巨額財政支出であった。この財政要因はパウエルFRB議長の管轄外であるが、結果としてインフレに関しては責を負わねばならぬ。パウエル議長にしてみれば貧乏くじであるが、市場はFOMCの制御が効かないインフレ要因としてリスク視をせざるを得ない。

FOMC当日にFOMC管轄外のインフレ要因が注目される展開となってきた。

2023年