豊島逸夫の手帖

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いよいよ7月FOMC

2023年7月26日

25、26日と7月FOMCが開催され、日本時間27日早朝に声明文発表とパウエル議長記者会見が予定されている。追加利上げが決まれば金には逆風。なければ追い風。

今回については0.25%追加利上げを既に市場も織り込んでおりサプライズはない。
問題は9、11月FOMCでも利上げがあるか。更に利上げ終了後どうなるか。そのヒントを市場は今回のFOMCでのパウエル発言に求める。

パウエル議長は連続利上げ(back to back)はあり得ると明言しているので、7月利上げ後も2回目、3回目の利上げが続く可能性は捨てきれない。
更にパウエル議長は利上げ停止後にインフレが再燃して、利上げ再開を強いられる事態を最も恐れる。利上げ過多より利上げ不足のリスクの方を重視すると常に語っているほどだ。

そもそも金利上昇が止まり、利下げが視野に入ると消費者がリベンジ的な支出行動に走り、物価上昇が再燃するシナリオが無視できない。

FRBが想定していなかった状況も起こり得る。例えば足元で家賃などの住宅関連価格に再び過熱の兆候が見られる。
住宅ローン金利が6%を超えるので、ゼロ金利時代に低金利のローンを組んだ人たちは解約して新たな住宅を購入せず現在の住居に留まる。その結果中古住宅の在庫が激減して価格は上昇。新築住宅価格も素材や人件費急騰の影響で高止まりしている。その結果貸家需要が増え家賃には上昇圧力がかかっている。前回の記者会見でパウエル議長は最新のデータでは家賃は落ち着いてきたと述べていたが短期間で住宅事情は変わった。インフレは粘着質とされる所以であろう。

それゆえ7月利上げ後の政策金利水準5.25~5.5%を年内或いは年越しで維持する方針だ。
そこで今後名目インフレ率が低下すれば、実質政策金利は上昇するので実質利上げ効果がある。
受動的(passive)引き締めと呼ばれる状況である。

そもそもFRBは実質政策金利を重視する。インフレ率が政策金利を上回れば実質政策金利はマイナスであり、下回ればプラスになる。アトランタ連銀ボスティック総裁は今回の利上げサイクルの中で、ゼロ金利から3.25%から3.5%への引き上げは実質政策金利がマイナスであったので「アクセルを緩める」程度の引き締めであったと述べている。その後現状の5%から5.25%のレンジへの利上げは「ブレーキを踏む」如き効果があると言う。FRBが最も重視するコアPCEインフレ率は年率4.6%なので、現在の実質政策金利はプラス圏となるからだ。今回の記者会見でも新たな政策金利水準が十分にrestrictive(引き締め効果が強い)か否かが問われよう。

FOMC参加者の地区連銀総裁やFRB理事たちの顔ぶれもここにきて人事異動によりかなり変わった。ハト派かタカ派か未だ計りかねる新顔が多いことは市場には潜在的サプライズ要因となろう。

なお、久しぶりにYouTubeで日本時間27日にFOMC総括やるよ。時刻はツイッター@jefftoshimaで伝える。

さて、ややこしい話はこの程度にして(笑)、本編の札幌グルメレポート。
今日は今札幌で最も注目される農園レストラン「アグリスケープ」。広大な農耕地で野菜から鶏、豚からニンニク、はちみつまで供するのは全て自家製。本店は高級住宅街円山にある老舗フレンチ。そこのオーナーが本店は人に任せ、今は専ら郊外のアグリスケープに専心している。吉田さんという優秀なシェフもいる。以前紹介したことがあるので、本ブログ読者が札幌旅行の際訪れてくるとのこと。

写真は順番に(サーブの順番ではなく)そば粉のガレット夏野菜包み卵添え。ブルーベリーとマルベリー、ラベンダーとイチゴのアイス。メインのポーク。すべて自家製野菜のサラダ。カブとじゅん菜。ポークのリエット。松川カレイのソテー。

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旬の素材に恵まれたシェフの繊細な料理センスは味わってみないことには書いて伝えられるものではない。札幌サテライトオフィスは止められないね。

2023年