豊島逸夫の手帖

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金価格2000ドル寸前、円150円再突破

2023年10月26日

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まず国際金価格。水準はスポットで1980ドル前後、NY先物で1998ドルと2000ドル寸前まで上がってきた。
理由はこれまでと変わらず。振り返れば1800ドル攻防からここまで上がってきたのはひとえに中東リスクプレミアム。そこに来週はFOMCが加わる。

それから昨晩は円相場が150円を再突破した。今日はその話を詳述する。
10月30~31日に日銀金融政策決定会合、10月31日~11月1日にFOMCが開催される。FOMCでは利上げは見送られると見られるが、政策金利は「長く、高く」維持されることがパウエル議長の発言により確認されることが予想されている。対して日銀の方は政策金利を「低く、長く」維持せざるを得ない。「経済」を3回連呼する首相のもとで日経平均を下げる政策は憚られよう。日本の長期金利がジワリ上がっても、NY市場では「YCCをtweak(いじる)」程度と見られている。その結果日米金利差は大きく変わる余地がない。

為替市場介入も世界のドル高の流れに逆らい、ドル買い・円売りに歯止めをかけるにはこれまでにないエネルギーが必要となる。しかもNY市場の投機筋はその為替介入を歓迎する姿勢が透ける。為替介入で円が140円台まで下がれば、そこから「円売り第二波」を仕掛ける格好の機会になるからだ。この点は本欄9月27日付け「150円接近、介入を歓迎する海外勢」で詳述した。ここまでの円安の流れに乗り損なった人たちが、ここぞとばかり待ち構えており、円安は「いまだ7回表」と書いた。

10月30日からの「中銀ウィーク」がXデーとなりそうだ。

2023年