豊島逸夫の手帖

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シントラで主要中央銀行フォーラム

2023年6月29日

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ポルトガルのシントラと言えば筆者も訪れたことがある美しい歴史的観光の街だ(筆者撮影)。そこで28日にECB主催の主要中央銀行総裁フォーラムが開催された。FRB、ECB、BOE(英国)、そして日銀植田総裁も初の国際舞台デビュー。壇上に4人が並ぶとそれだけで利上げ続行中の欧米中央銀行と我が道を行き大規模緩和継続中の日銀の違いが鮮明だ。円が売られるのも当たり前と思える。一方で欧米組からは金には逆風の発言が相次いだ。インフレは想定を超えてしぶとく粘着質なので利上げを継続せねばならない。パウエルFRB議長はまだ3回は追加利上げするかも知れず、更に6%に近い政策金利を2024年から、場合によっては2025年までホールド(維持)すると発言。まだサービス業の賃金が下がり難くネックになっているので、この岩盤を突破せねば目標のインフレ率2%まで下げることは難しいとの見解だ。サービス業はホテル・レストラン・医療・交通運輸・レジャーなど、多岐に亘る労働集約的なセクターだ。

ここまでタカ派(利上げ積極派)的発言が続くと、中期的にインフレヘッジとして金が買われるにせよ、短期的には金利を生まない金は投機的に売られやすい。1900ドルの大台も迫ってきた。
チャートの形も短期では悪い。14日移動平均線を下放れた。NY商品先物市場には投機的売り圧力がかかりやすい。

しかし、ドル金利が6%近くになれば利上げ過多で不況になり、更に企業倒産で銀行は不良債権が増え経営不安に陥るところも出てくる。特に商業用不動産即ち大型オフィスビル破綻のリスクが懸念される。そうなると安全資産としての金の出番だ。

従って1900ドルを割れても底は浅い。200日移動平均線は1850ドル程度にあるので、まだ中期上昇トレンドが崩れるような状況ではない。
下図のKITCOチャートで青線が14日移動平均線、緑線が200日移動平均線。

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さてさて、強烈に蒸し暑く不快になってきた。札幌サテライトオフィスに移動だ。オーストラリアのパースに行ってゴルフするのもいいかなと思っている。南アがまだ金生産大国だった頃はヨハネスブルグ出張があり、帰り道はパース経由で帰国したものだ。パースに数日滞在して骨休めした。それゆえ土地勘はある。近くのフリーマントルという港湾の町は日本の遠洋漁業の前線基地でもあり、気仙沼とか日本の漁師さんたちも見かける。そこに寿司屋があって旨かったけどコロナでどうなったことやら。

それからシントラの思い出としては宿泊したホテルの部屋に天正遣欧少年使節団(4人の少年が1582年にキリシタン大名大友氏らの名代としてローマに派遣された)の絵が飾られていたこと。あの時代にどうやってローマまで辿り着き帰国したのか。彼らが持ち帰ったグーテンベルグ印刷機によって日本の活版印刷が始まった。何かお宝鑑定団みたいなノリになってきたな(笑)。

なお、大谷クンは今日も3安打で打率を3割台に上げ、ヒョッとして三冠王も視野?みたいな夢を見させてくれる(本塁打と打点は1位だからね~)。

2023年