豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 国際金価格、2000ドル再突破
Page3694

国際金価格、2000ドル再突破

2023年4月5日

3694a.png昨日本欄で2000ドル目前に値固め中と書いたら、夜のNY市場であっさり1980ドルから2020ドルまで30分で急騰した。

キッカケはJOLTSと呼ばれる求人件数。これまで毎月1000万件の大台を超え、失業者1人に求人件数2件近くという労働市場過熱状態(売り手市場)が話題になっていた。インフレ率が下げ渋る要因と見られていたのだ。然るに昨晩発表分は993万人まで急減した。しかも2か月連続の減少。いよいよインフレ懸念も後退して、利上げも終わりかという観測が台頭してきたのだ。今週月曜に発表されたISM製造業景況感指数は5か月連続で50の大台を割り込んでいる。先週金曜日に発表されたPCEインフレ率(FRBが最も重視するインフレ率)は年率4.6%(コア)まで落ち着いてきた。この流れが潮目の変化を想起させて、金利を生まない金には追い風となったわけだ。年後半には不況、或いはスタグフレーションとなり、FRBは利上げどころか利下げへの転換を強いられるとの観測も根強い。その結果昨日のドル金利は下落。外為市場ではドル安。銀行危機も一服とは言えまだまだ安心はできない。昨日は米国最大の金融機関JPモルガン銀行CEOダイモン氏が警告を発した。クレディ・スイスの「最後の株主総会」も大荒れで、現CEOが「本当にこんなことになり申し訳ない」と日本流に言えば土下座せんばかりに謝罪したが、大損した株主たちの怒りは収まらず。訴訟に発展する可能性もある。クレディ・スイスをUBSが買収の件はまだ紆余曲折があるかもしれない。

このようは背景でNY金はスポットでも先物でも2000ドルを突破したわけだ。NY金の史上最高値は2020年8月の2089ドルなので標的圏内と言える。但し先物価格はスポット価格よりも高いので混同しないように。国内金小売価格も円高にも関わらず最高値更新。こちらはもう驚かなくなってきた。グラム1万円も絵空事とは言えまい。

今後のシナリオは短期的乱高下を繰り返しつつ、徐々に価格水準が切り上がる展開を予測する。年内2100ドル。さすがに2000ドルを超えると現物売り戻しも加速して現物需給は緩む。但し今年は中国やロシアなどの公的金準備増強が顕在化しており、中長期的には金価格が下がり難い構図になっている。

万が一このままドル建て金価格が史上最高値更新まで突っ走ると逆に反動売りの方が懸念されるね。わがままな話だが秩序ある価格上昇が望ましい。現場でそんな悠長なことは言ってられないが。

こんな時は富士山見ながらゴルフしたいよ。気分転換にね。スコアは毎回無かったことにしているけど(笑)。
3694b.jpg3694c.jpg鶯の鳴き自慢に耳を傾けるも良し。今週末は行けるかな~~。ここのところ寝不足気味が続き、大谷クンを見るのが気分転換になっているよ。今シーズンは他の日本人プレーヤーの活躍も期待できそうで楽しみ。

2023年