2023年6月2日
6月1日のNY金市場では経済指標の悪化を受け、利上げ確率も急低下して、債券市場ではドル金利安、外為市場ではドル安に振れ、ドル建て金価格は上昇した。
スポットで1980ドル台に乗せ、2000ドル回復も視野に入る(KITCOグラフ緑線参照)。
金価格を押し上げた経済指標はまずISM製造業景況感指数。これが46.9と7か月連続で好不況の節目とされる50を下回った。内訳も新規受注や販売価格が下落した。これはインフレ抑制の観点からは歓迎される数値で、FRB利上げ確率を引き下げる要因にもなるので金には追い風になる。
更に毎週発表される新規失業保険申請件数23万2000件で、これは多い部類に入る。解雇が増えていることを示すので安全資産としての金は買われやすい。
総じて金は不況感を示唆するような経済統計に反応している。とは言え1日の動きは2日の雇用統計発表に比し前座の扱いだ。本番を前に金空売りに走っていた投機筋が買い戻しでポジション調整に動いた面も否定できない。
その本番の雇用統計は6月FOMCを13~14日に控えて極めて重要だ。良い数字が並べば引き締め利上げが未だ足りないという理由で利上げ継続の可能性が強まる。但し6月は利上げを1回休み、7月か9月のFOMCで利上げ再開という変化球のパターンが想定されている。このケースだと金は売られる。但し発表直後の初期反応は曲者で所謂「騙し」が多い。本当の市場反応は週明けの月曜日まで見守る必要がある(雇用統計で悪い数字が並べば金は2000ドル接近となろう)。
なお、雇用統計の結果を受けて久しぶりにYouTube豊島逸夫チャンネルで話すよ。2日夜か3日朝。ツイッター@jefftoshimaで告知する。